持ち込んだタイヤが低い路面温度に合わず厳しい戦いを24位完走で終え、残り2大会へ
予選──想定を下回った路面温度とタイヤのミスマッチに苦し…
9月12-13日、三重県の鈴鹿サーキットで2026 Intercontinental GT Challenge(IGTC)第4戦、第50回大会を数える「SUZUKA 1000km」が開催された。GT World Challenge Asia(GT WCA) JAPAN CUPと同じ週末に組まれたこの国際レースに、K-tunes Racingは96号車LEXUS RCF GT3で参戦。決勝では20番グリッドから11ポジションを上げ、総合9位・PROクラス7位でチェッカーフラッグを受けた。
LEXUS RCF GT3のステアリングを託されたのは、GT WCA JAPAN CUPとダブルエントリーとなる阪口晴南選手、SUPER GT GT300クラスでスバルのファクトリードライバーを務める山内英輝選手、そしてHOPPY team TSUCHIYAから同じくGT300クラスに参戦する松井孝允選手の3人。


今回スポット参戦となる山内選手と松井選手は、トヨタの育成ドライバーだった10代からの長い付き合いがある。SUPER GTではライバル関係の二人だが、今回、チームメイトとして戦えることが嬉しいと口を揃える。
昨シーズンはプロフェッショナルドライバーとアマチュアドライバーからなるブロンズクラスにエントリーしたK-tunes Racingだが、今回はプロのみで構成されるPROクラスで参戦。総合優勝を目標に長く厳しいレースに挑む。



12日(土)、GT WCA JAPAN CUP勝Rd.7の決勝終了から3時間ほどが過ぎた17時40分、SUZUKA 1000kmの予選がスタートした。Q1を担当したのは、JAPAN CUPを戦い終えたばかりの阪口選手だ。


気温26℃・路面温度30℃、ホームストレートには強い向かい風が吹くなか、日が傾き始めた時間帯のセッションとなった。クリアラップの取れるタイミングを見極めながら周回を重ね、3周目に2分01秒020をマーク。しかしその後はタイムが伸びず、10番手(PROクラス8位)でセッションを終えた。
続くQ2は山内選手が担当。チームは後半の方が路面コンディションが良くなると見て4分ほど待つ予定だったが、山内選手の希望で残り13分25秒でコースインした。


山内選手は、夜の帳が下りるなかで4周目に自己ベスト2分01秒710をマークしたが、その後は前走車に引っかかり一度もクリアラップが取れず。残り2分の時点で18号車がデグナーでコースアウトして赤旗が出たことでセッションはそのまま終了。22番手(PROクラス8位)に終わった。
18時25分開始予定だったQ3は、赤旗の影響で18時27分にスタート。完全なナイトセッションのなか、Q2での反省を踏まえ、新田守男・高木真一両テクニカルディレクターと一瀬俊浩チーフエンジニアは、松井選手に無線で細かく位置取りをアドバイスする。
ピットから離れたスプーンコーナー辺りでは無線が届きにくいため、高木テクニカルディレクターが無線を中継した。


松井選手は、3周目に9番手となる2分01秒500をマークし、4周目には自己ベスト2分01秒217まで更新したが、20番手(PROクラス8位)にとどまった。
前日から気温が5℃ほど上昇した影響で、エンジンは本来のパワーを発揮できていなかった。加えて海外勢には、アタックを終えても道を譲る習慣のないドライバーもおり、山内選手と同様、最後まで満足なクリアラップをとれなかった。


3セッションの平均タイムは2分01秒315で、決勝は20番グリッドからのスタートが決まった。


13日(日)12時48分、6時間30分の決勝レースがスタート。前夜から降り続いた雨は昼前に上がっていたが、路面はまだ濡れており、96号車はウェットタイヤでグリッドに着き、グリッド上でスリックタイヤへ履き替えてスタートに臨んだ。
乾き切らない路面をスリックタイヤで走るという難しい状況で、第1スティントを担当した山内選手は、海外勢が激しく車間を詰めてくる混戦を的確に抜け出し、1周目だけで7台をパスして13番手に浮上。2周目に12番手、5周目にはバックストレートで5号車をパスして11番手に上がった。


スタートから20分ほどで路面は急速に乾き、ウェットタイヤを選んだ車両が苦しむなか、山内選手はスリックタイヤのアドバンテージを活かしてペースを維持。その後は他車のピットインやトラブルによる順位変動もありながら、10番手前後をキープした。
30周を終えてピットに入り、山内選手はダブルスティントで再びコースへ。9番手でピットアウトしたが、アウトラップで14番手まで順位を落とす。その後、他車のピットインで12番手まで戻し、33周目には決勝での自己ベストとなる2分02秒564をマークした。


42周目にはS字コーナーでの接触アクシデントによるフルコースイエロー(FCY)もあったが、60周を走り切って松井選手にRCF GT3のステアリングを託した。
松井選手のアウトラップ直後、S字コーナーで555号車と18号車が接触するアクシデントが発生、FCYが導入される。この接触で555号車が後退したことにより96号車は12番手に浮上。続いてSC(セーフティカー)が導入されると、ピットからは燃費をセーブするよう無線で指示が出る。SCで各車のギャップが詰まった状態から、レースは再開された。


松井選手は、レース再開後もフロントタイヤをいたわりつつペースを保つ。ピットからは前後を走る車両とのギャップやクラスの違いが無線でこまめに伝えられ、その情報をもとに無駄なリスクを避けた走りを続けた。
前を行く車両が周回遅れであることを無線で告げられ、パッシングでラインを譲ってもらう場面もあり、これが大きなペースアップにつながったと、松井選手はいう。



85周目には、スティントを1周延ばすため、一瀬チーフエンジニアから「抜かれてもいいから燃費走行」との指示が出た。松井選手が伝えた燃料の残量をもとにピットで計算した結果、予定周回まで走り切れることが分かり、燃費走行はほどなく解除された。
94周を終えて6番手でピットに入りタイヤ交換と給油を終えると、松井選手が再びコースへ。13番手でレースに復帰すると、97周目に決勝での自己ベストの2分01秒902を記録。100周目には前を走る5号車をパスして12番手に上がった。


その後も他車のピットインと自らのオーバーテイクで、125周を終えてピットに入った時点で7番手(PROクラス7位)まで順位を上げた。
第5スティントを担当した阪口選手は、アウトラップを終えて9番手。前を行く93号車との差は約23秒あった。


しかし、阪口選手はここからペースを上げていく。129周目に96号車のベストタイムとなる2分01秒643を記録するなど、23秒あった差を6周で2.5秒まで縮め、136周目のホームストレートで93号車をパスして8番手に浮上した。
その後は、前を行く69号車とほぼ同じペースで周回を重ね、153周目にはタイヤ交換のためピットイン。アウトラップで9番手に後退したが、前を行く60号車のピットインで8番手に戻した。


だが、今度は後方から86号車が迫ってくる。ピットからは「86号車とのギャップ、6秒。キツいと思うけど頑張って」と無線が飛ぶ。阪口選手は2分03秒台のペースを守って抵抗を続けたが、86号車はさらに速いペースで追い上げ、残り10分でギャップは1秒を切った。
177周目、バックストレートで86号車にパスされ9番手に後退。それでも最後までミスなく走り切り、180周を終えた時点で6時間30分のレースタイムが経過。96号車は総合9位、PROクラス7位でチェッカーフラッグを受けた。


予選ではクリアラップに恵まれず20番グリッドに沈みながら、ドライバー3人とチームがノーミスでレースを戦い抜き、シングル(9位以内)でフィニッシュした。
今回のレースで得た経験とデータはチームにとって大きな収穫だ。一方で、優勝チームとは3ラップ差をつけられるなど、悔しさも残った。
一瀬チーフエンジニアは「チームとして機能しているのが、いまのうちの強さ」と語る。今回届かなかった総合優勝を目指し、K-tunes Racingは来年も鈴鹿1000kmに挑む。

IGTC Rd.4 SUZUKA 1000km を終えて
RCF GT3でのレースは久しぶりで、車両特性としてスイートスポットが狭いこともあり、走りはじめは苦労しました。それでも決勝では大きなミスやアクシデント、ペナルティもなく走り切れたことが、この順位につながったと思います。夜間のスティントではタイヤの温度が下がり、ピックアップ(路面のタイヤカスがタイヤ表面に付着する現象)が出てペースを上げづらい時間帯もありましたが、新田さんや高木さん、エンジニアの皆さんが前後車両との位置関係などを非常に細かくマネージメントしてくれたので、最後まで走ることに集中できました。山内選手、松井選手は、さまざまな引き出しを持つドライバーなので、自分自身のスキルアップにもつながりました。
Hideki Yamauchi 山内英輝 ドライバー
RCF GT3は初めてでしたが、走り始めからうまく馴染むことができ、スタートでは流れをしっかりつかんでポジションを上げられました。今回は松井選手とスポット参戦だったので、チームに迷惑をかけられないという緊張感がありましたが、長い付き合いの松井選手と一緒だったからこそ、この結果につながったと思います。一瀬チーフエンジニアの無線での情報量や、新田さん、高木さんのドライバー心理を理解したコミュニケーションにも助けられ、ドライブに専念できました。ドライバーとしていい経験を積ませていただき、チームの皆さんに感謝しています。
Takamitsu Matsui 松井孝允 ドライバー
厳しい戦いのなかでも、どのクルマと競っているのか、周回遅れはどの車両なのかといった情報を新田さん、高木さんが的確に伝えてくれたので、ミスを避けるうえで本当に助かりました。フロントタイヤをいたわりながらペースを保つことに集中しながらも、少しずつ順位を上げられたのは、そうしたチームのサポートがあったからこそです。山内選手、阪口選手と組んでレースができたことも、自分にとって大きな収穫になりました。ありがとうございました。
09/12 予選Q1 鈴鹿サーキット 天候:曇り 路面:ドライ
09/12 予選Q2 鈴鹿サーキット 天候:曇り 路面:ドライ
09/12 予選Q3 鈴鹿サーキット 天候:曇り 路面:ドライ
09/13 決勝 鈴鹿サーキット 天候:曇り 路面:ドライ
Sena Sakaguchi 阪口晴南 ドライバー