
【2025年Rd.4 FUJI】華々しいWinGの活躍
2025年8月2日・3日に静岡県の富士スピードウェイで行われ…
真夏の富士山麓で開催された2025年SUPER GT第4戦は、Race1、Race2の2つのスプリントレースという現在のSUPER GTとは異なるフォーマットで実施された。5月の第2戦以来約3か月ぶりに日本に帰ってきたSUPER GTで、K-tunes Racingはリタイアからポイント獲得まで明暗の分かれる2日間を戦い抜いた。
8月2日のRace1では新田守男選手が全セッションを担当した。予選はタイムアタック方式が採用され、11時40分、気温33℃、路面温度48℃という厳しいコンディションの中でスタート。K-tunes RCF GT3は、高温により本来のエンジンパワーが発揮できず、さらにブレーキング時にリアがロックする症状も発生していた。
それでも新田選手のベテランならではの走りで、残り8分30秒の時点で1分38秒726を記録し、一時トップに躍り出た。しかし、その後ブレーキバランスの調整のためピットインし、そこでブレーキバランスが狙いよりもリア寄りになっていることが判明。タイヤもピーク性能を過ぎていたこともあり、新田選手は再コースインすることなく20分の予選は終了。最終的に1分38秒726のタイムで22位となった。
決勝レースはGT500クラス、GT300クラスの混走による35周のスプリントレースで行われた。しかし、スタート直後に想定外のトラブルが発生することとなった。
まず、GT500クラスのマシンがコースアウト。これによりSC(セーフティカー)の導入が決定された。その直前、前走車がSCを想定して早めのブレーキングを行ったため、96号車の左フロントが接触してしまった。
この軽微に見えた接触の衝撃で、ワイヤーハーネス(電気配線)がショート。車両の頭脳ともいえるECU(電子制御ユニット)に異常が発生し、ギアが2速で固定されてシフトアップできないという深刻なトラブルに発展した。
チームメカニックは約30分間の懸命な作業を実施。ヘッドライト、ワイヤーハーネス、ECUの交換などの応急処置により、なんとかマシンをコースに復帰させることに成功した。
しかし、復帰時点では既にトップ集団は残り9ラップと終盤に差し掛かっており、最終的に4ラップでのリタイアとなった。
昨季の第4戦富士でも前走車のタイヤバランスウェイトがラジエターを直撃する不運に見舞われており、再び富士でのリタイアという結果となった。
翌8月3日のRace2では高木真一選手が全セッションを担当。予選はRace1と同様にタイムアタック方式で、11時40分より20分間行われた。高木選手は、Race1とは異なりソフトタイヤを選択したが、路面温度が想定より高めだったこともあり、期待したパフォーマンスを発揮できず1分38秒458で19位となった。
決勝はRace1とは異なりGT300クラス単独による50分間のレースフォーマットが採用され、気温32℃、路面温度42℃と前日のRace1決勝より10℃以上低いコンディションの中、午後2時20分に戦いの幕が開けた。
高木選手は19番グリッドから巧みなスタートで一気に16位まで浮上。「19番グリッドはコースのイン側なので厳しいと思ったが、18番グリッドの車両がスタートで出遅れ、幸運にも前に出られた」とレース後に語った。
その後、31号車がコースアウトしたことで15位とポイント圏内に浮上。ソフトタイヤの効果もあって序盤でペースを上げることができた高木選手は、ヘアピンコーナーの侵入で87号車をパスして14位まで順位を上げ、1分39秒159のベストラップを記録した。
しかし、残り35分の8ラップ目、ストレートスピードに勝る56号車のNISSAN GT-R NISMO GT3にストレートエンドでパスされ15位に後退。
その後、87号車のLAMBORGHINI HURACAN GT3 EVO2との激しい攻防が続いた。ストレートではRCF GT3が優位に立てるものの、コーナーではLAMBORGHINI HURACAN GT3 EVO2が速く、マシン特性の違いが鮮明に現れた。
最終的に16位でチェッカーフラッグを受けたが、8位でゴールしたマシンがタイムペナルティ(※)40秒加算されたため、K-tunes RCF GT3は15位に繰り上がり、第2戦富士以来のポイント獲得を果たした。
Race1は不運なリタイアに終わったものの、Race2では高木選手のベテランならではの冷静な走りとチーム一丸となって取り組んだ結果が実を結んだ。
予選順位の重要性が高いスプリントレース形式において、一発の速さを出すセッティングという課題が浮き彫りになったが、GT300クラス単独のレースという駆け引きの場面が限られる中でも、確実にポイントを獲得できたことは収穫である。
マシンとタイヤとのマッチングという課題は残るものの、この経験は今後に向けて大きな意味を持つ。次戦第5戦鈴鹿でも、さらなるポイント獲得を目指していく。
※タイムペナルティ:反則行為があった車両の競技結果に対してタイムを加算するペナルティ
SUPER GT Round.4 富士を終えて
Race1では軽微な接触でECUにバグが生じるという稀なトラブルに見舞われました。現在のマシンは全て電子制御のため、こうした不測の事態も起こりえます。Race2の15位という順位は決して満足できるものではありませんが、チーム全員の努力でポイント獲得につながりました。予選22位、19位という厳しい結果が続いており、今は我慢の時期と捉えています。LEXUS RCF GT3は中高速コーナーが得意なマシンで、次戦鈴鹿との相性も良く昨年も9位入賞(※)を果たしています。依然としてマシンとタイヤとのマッチングに課題がありますが、必ず良い結果に結びつくと信じて、できることを着実に積み重ねていきます。 ※第3戦、第5戦ともに9位入賞
Morio Nitta 新田守男 ドライバー
今回はサクセスウェイト(※)が0kgでしたが、それ以上に高温によりエンジンが本来のパワーを発揮できない影響の方が大きく感じました。Race1の予選ではブレーキの前後バランスに問題が生じ、決勝ではブレーキトラブルは解決していたものの、序盤のアクシデントでポイント獲得が叶いませんでした。Race2では前日のトラブルは完全に解消されており、高木選手がソフトタイヤを上手くマネージメントして最後まで良い走りを見せてくれました。ただ、マシンとタイヤとのマッチングという課題は残っています。第5戦鈴鹿でも厳しい戦いが予想されますが、現状の課題に取り組みつつ、ポイント獲得を目指して頑張ります。 ※サクセスウェイト:レース結果によって獲得した通算ポイントに応じてウェイトを搭載することで、各マシンの性能が均衡になるよう調整し、シーズンを通じてイコールコンディションに近い状況で戦うこと実現する制度。
Shinichi Takagi 高木真一 ドライバー
Race2では予選で狙っていたほどタイムを縮められず19番グリッドとでしたが、運良くスタートで前走車3台をパスして16位までポジションアップできました。クルマ自体は比較的良い状態で、ソフトタイヤをセレクトしたこともあり、序盤は集団の中でも速いペースで走ることができ、タイヤを労りながらゴールまで走り切れました。ただ、GT300クラス単独のレースはGT500クラスとの混走と比べて駆け引きの場面が少なく、オーバーテイクのチャンスが限られるため、改めて予選順位の重要性を痛感しました。予選での一発の速さにはまだ課題があり、そこを改善していきたいと思います。
Taiyo Mitsumori 光森太陽 メカニック
Race2は無事に完走できてホッとしています。一方、Race1でのリタイアはチームにとっては厳しい結果でしたが、もともと岡山トヨペットで一般車のメカニックだった私たちにとって、スキルアップのための貴重な経験となりました。SUPER GTという最高峰のレースでは予期せぬトラブルが起こりますが、それらに対応することでメカニックとして成長できていると感じています。今回のような試練を乗り越えながら、今後もチーム一丸となって頑張りたいと思います。
08/02 Race1 予選 富士スピードウェイ 天候:晴れ 路面:ドライ
08/02 Race1 決勝レース 富士スピードウェイ 天候:晴れ 路面:ドライ
08/03 Race2 予選 富士スピードウェイ 天候:晴れ 路面:ドライ
08/03 Race2 決勝レース 富士スピードウェイ 天候:晴れ 路面:ドライ
Masahiko Kageyama 影山正彦 監督