
前戦岡山での表彰台を糧にさらなる高みへ96号車と98号車、それぞれの挑戦
96号車LEXUS RCF GT3──波に乗る2人のドライバーが勝利を狙…
8月28日(木)から31日(日)にかけて岡山国際サーキットで開催されたGT World Challenge Asia(GT WCA) 2025 JAPAN CUP第5-6戦。K-tunes Racingにとって地元岡山での戦いは、98号車Ferrari 296 GT3が今シーズン初の3位表彰台を獲得した一方、両車ともにペナルティとトラブルに見舞われる波乱の大会となった。
末長一範選手と福住仁嶺選手のPRO-AM(プロ-アマチュア)コンビは、今大会でも安定したパフォーマンスを発揮した。30日の予選では、Q1担当の末長選手が12番手、Q2担当の福住選手が5番手という結果を残した。
特に福住選手の走りは目覚ましく、Ferrari 296 GT3をはじめとする最新のGT3マシンが顔を揃える中で、2017年デビューのLEXUS RCF GT3を駆って堂々と上位グループに食い込む実力を見せつけた。
Japan Cup Rd.5にあたる30日(土)のRace1では、末長選手が12番グリッドからスタートを切った。555号車のスピンによりFCY(フルコースイエロー)が導入されたタイミングでのピットストップで福住選手に交代すると、流れが大きく変わった。
レース再開後、福住選手はAM(アマチュア)クラスの66号車、1号車を立て続けにパスし、確実に順位を上げていく。
さらにFCY中のオーバーテイクにより666号車がドライブスルーペナルティを受けたことや、24号車と296号車の接触による順位変動も追い風となった。
結果的に12番手から5位へと7ポジションアップの快進撃を見せ、前戦富士大会に続く上位でのフィニッシュを果たした。
しかし、Rd.6となる31日(日)のRace2では一転して不運に見舞われることになる。98号車のQ2でのペナルティにより4番グリッドに繰り上がった福住選手は、スタート直後の第2コーナーで555号車をインサイドからパスして3位に浮上した。
1分29秒台のタイムでFerrari 296 GT3勢に迫るペースを維持し、トップ2台には徐々にギャップを広げられながらも、表彰台圏内の3位を堅実にキープしていた。
だが19ラップでのピットストップが運命の分かれ道となった。末長選手が4位でコース復帰したものの、その直後にピットストップ時間不足により1秒のストップアンドゴーペナルティを科されてしまう。
さらに残り6分30秒、リボルバーコーナー出口において555号車との接触が発生しコースアウト。フロントタイヤ交換を余儀なくされ、最終的に17位でレースを終えた。
高木真一選手と山脇大輔選手のディフェンディングチャンピオンコンビにとって、今大会は波乱含みのスタートとなった。
予選Q1で山脇選手が11位、Q2で高木選手が4位と好調な滑り出しを見せたものの、Q2の赤旗中断時に高木選手が80km/hの規定速度を超過してしまった。この結果、Q2でのベストタイムが抹消され、4番グリッドから9番グリッドへと大きく後退してのスタートとなった。
30日のRace1では山脇選手が11番グリッドについたが、3番グリッドの45号車のトラブルにより10番手に繰り上がってスタートを切った。FCY中のピットストップで高木選手に交代すると、レースの流れが98号車に向いてきた。
レース再開後、高木選手は着実に順位を上げていく。まず96号車と同様にAMクラスの66号車、1号車をオーバーテイクし、7位に浮上。
さらに666号車のペナルティ、24号車と296号車の接触による順位変動などが重なり、最終的に予選11番手から8ポジションアップという大躍進で3位へと駆け上がる。
「今シーズンは流れが悪すぎたが、ようやく表彰台に登れて本当にうれしい」と高木選手が語るように、今シーズンはマシントラブルに悩まされ続けた98号車だったが、ようやく表彰台を獲得し、苦しいシーズンが報われる瞬間となった。
しかし翌日のRace2では、前述のペナルティにより9番グリッドからのスタートとなった。さらにRace1の3位入賞による5秒のサクセスペナルティがピットストップ時間に加算される。
高木選手はスタート後8位に順位を上げ、ドライバー交代後も山脇選手が順調にラップを重ねていた。
しかし残り13分、山脇選手からチームスタッフに「コーナーの立ち上がりでエンジンが吹け上がらない」との無線が入った。
98号車は一度ピットインして電源オン・オフなどの対処を試みたが症状は改善されず、このトラブルにより最終的に18位まで順位を落としてのフィニッシュとなった。
厳しい残暑の中で開催された岡山大会では、98号車が今シーズン初の表彰台を獲得し、ディフェンディングチャンピオンとしての意地を見せた。
一方、96号車も安定したペースと競争力を示すも、ペナルティと接触により本来の力を発揮できない場面もあった。
K-tunes Racingにとって、ホームコースでの戦いは格別の意味を持つ。昨年この地でシリーズチャンピオンを確定させた98号車の表彰台復帰は、チーム全体にとって大きな励みとなった。
K-tunes RacingはJapan Cup GT3 Teamsチャンピオンシップで現在4位につけており、96号車はGT WCA Japan Cup最終戦となる鈴鹿大会での、さらなる上位進出への期待が高まる。
一方、98号車はJapan Cupと同日の9月14日に開催されるIntercontinental GT Challenge 鈴鹿1000kmレースに参戦予定である。
ホームコースで得た経験と自信を糧に、それぞれ異なる舞台でのチーム一丸となった戦いに期待がかかる。
GT World Challenge Asia 2025 JAPAN CUP Rd.5-6 OKAYAMAを終えて
今回の岡山戦では、木曜日のテストから日曜日の決勝まで、自分が苦手とする部分を修正してきたことが、レースでうまくまとまったと感じています。ドライビングという観点では非常に良い岡山戦となりましたが、ペナルティとその後のアクシデントが残念でした。福住選手が厳しい状況の中で素晴らしいレースをしてくれただけに、私もしっかりと頑張りたかったのですが…。一方で、チームポイントでは現在4位につけているので、最終戦となる鈴鹿大会ではチャンピオンシップでのさらなる上位進出を狙っていきたいと思います。
Nirei Fukuzumi 福住仁嶺 ドライバー
フェラーリ勢との差はまだまだ大きく、Race2がスタートしてすぐに前の2台に離されてしまいました。他のサーキットと比べると、今回の岡山では少しは戦えたかなと思いますが、やはり他の車両のパフォーマンスには及ばない部分が多く、チーム力やコミュニケーションの面でも課題があります。最終戦の鈴鹿大会も簡単ではないでしょうが、末長選手と事前にしっかりと準備を重ね、乗りやすいマシンを作り上げて、良い流れでシーズンを終えられるよう頑張りたいと思います。
Daisuke Yamawaki 山脇大輔 ドライバー
今年は厄年ということもあって、レース以外でもさまざまなトラブルに見舞われていましたが、今回表彰台に立つことができ、ようやく厄が落ちた感じがしています。Race2ではコーナーの立ち上がりでエンジンが吹け上がらなくなるトラブルに見舞われました。原因は燃料ポンプの故障かコンピューターの制御異常だと思われます。ただし、マシンのセットアップ自体は良好でしたし、次に98号車がエントリーしている鈴鹿1000kmに向けてのトラブルシューティングができたという意味で、むしろ良いタイミングだったと前向きに考えています。
Shinichi Takagi 高木真一 ドライバー
今シーズンは流れが悪くマシントラブルも多かったのですが、ようやく結果を残すことができました。Ferrari 296 GT3は昨シーズンから使っていて、ちょうどさまざまな部品が劣化してくる時期でもあります。予選では赤旗中の速度超過というミスで、4番グリッドから9番グリッドまで後退してしまいましたが、それでもRace1で3位表彰台に立つことができて本当にうれしく思います。翌日のRace2ではトラブルに見舞われてしまいましたが、もしRace1の表彰台争いの最中にこのトラブルが発生していたらと思うと、結果的には良いタイミングだったのかもしれません。
08/30 決勝Rd.5 岡山国際サーキット 天候:晴れ 路面:ドライ
08/31 決勝Rd.6 岡山国際サーキット 天候:晴れ 路面:ドライ
08/30 決勝Rd.5 岡山国際サーキット 天候:晴れ 路面:ドライ
08/31 決勝Rd.6 岡山国際サーキット 天候:晴れ 路面:ドライ
Kazunori Suenaga 末長一範 ドライバー