2025年シーズン最終戦、アクシデントを乗り越え13位完走来季へ繋がる新タイヤとセットアップの手応えを掴む
予選──タイヤ戦略の転換によりQ1 3位でQ2進出も18番グリッ…
11月1日・2日、栃木県のモビリティリゾートもてぎにて「2025 AUTOBACS SUPER GT Round8 MOTEGI GT 300km RACE GRAND FINAL」が開催される。今シーズンのK-tunes Racingは厳しい戦いを強いられてきた。これまでの7戦で31ポイント、チームランキング20位。開幕戦岡山の6位入賞以降は下位に沈む展開が続く。最終戦もてぎはいわゆる“ストップ&ゴー”のコースレイアウトがLEXUS RCF GT3の特性と合致しないが、オートポリスから継続されるBOP(注)の改善を追い風に、新田守男選手、高木真一選手の経験豊富なコンビが挑む。
もてぎはタイトなコーナーと短い直線を組み合わせたフラットなレイアウトが特徴で、ブレーキングと加速を絶え間なく繰り返すことになる。コーナー立ち上がりでの加速力がタイムに直結するため、ターボエンジン勢が優位に立ちやすい。


自然吸気V8エンジンを搭載するRCF GT3にとってマシン特性を活かしにくいサーキットだが、2023年には決勝5位入賞を果たすなど、新田選手、高木選手ならではのタイヤマネージメントと冷静なレース運びが弱点をカバーしてきた。
前戦オートポリスでは新コンパウンドタイヤに合わせたセットアップを良い方向に仕上げたが、タイヤに厳しいオートポリスの特性により、決勝の長丁場ではパフォーマンスを維持できなかった。


また、もてぎもオートポリスと同様にピックアップ(タイヤカスの付着によるグリップ力の低下)が発生しやすい。この現象が起きるとラップタイムが数秒変動することもあるため、タイヤのマネージメントに加えて、オーバーテイクやGT500クラスのマシンを先行させる際のライン取りも重要だ。


こうした課題がある一方で、もてぎでの事前テストではセットアップの方向性に手応えを感じていると高木選手が語っており、両ドライバーによるマシンとタイヤのポテンシャルを引き出す走りに期待がかかる。
第8戦もてぎでの追い風は、オートポリスから引き継がれるBOPの改善だ。エアリストリクター径は前戦で40mmから42mmに拡大されたが今回も維持される。


給油リストリクターも最大径まで開放され、給油時間は最短となる。300kmレースとなる今大会では、1回のピットストップでのタイヤ交換と給油のタイミングが勝負を分ける。チームはレース展開を見極めながら最適なタイミングを見出す。
もてぎは各コーナーの難易度が高くないためタイム差がつきにくく、さらにオーバーテイクが難しいサーキット特性から予選でいかに前方のグリッドを獲得できるかが重要だ。わずかなミスも許されない中、新田選手、高木選手の安定したパフォーマンスが期待される。


最終戦はサクセスウェイトがゼロとなり、重いハンデを背負ってきた上位勢が本来の力を発揮する。K-tunes RacingもBOP改善により比較的良い条件で戦えるが、全体のレベルが上がる中での戦いは容易ではない。


それでも、チームが積み重ねてきた知見と最後まで諦めない姿勢は変わらない。与えられた条件の中でベストを尽くし、その過程で得られる学びを来シーズンへの糧とする。晩秋のもてぎで、K-tunes Racingの2025年シーズンが閉幕を迎える。
(※)「BOP(バランス・オブ・パフォーマンス)」は日本語で「性能調整」を意味し、異なる性能のマシンが競合するレースにおいて、各車両の性能差を埋め、より接戦で面白いレースを促すために導入されているシステム。