
ベテランコンビの走りとチーム力で戦い抜いた3時間厳しいコンディションを乗り越え掴んだ貴重なポイント
予選:惜しくも長い決勝レースを見据えた戦略が奏功せず …
第1戦岡山で予選19位から6位入賞と奮闘を見せたK-tunes Racing。迎える第2戦富士スピードウェイは、3時間の長丁場レースとなる。昨シーズンの第2戦はタイヤバーストもあり17位と厳しい結果に終わったが、新体制で臨む今シーズンはその雪辱を果たすべく準備を整えている。
K-tunes Racingが擁するRC F GT3は、富士スピードウェイの特性と一長一短の関係にある。1.5kmに及ぶホームストレートから第1コーナーまでのセクター1では、他のGT3車両よりも頭一つ出るほどの伸びを見せ、ターン3から高速の100R、そしてヘアピンコーナーまでの中高速コーナーが連なるセクター2でも強みを発揮する。
しかし、低速コーナーが続くセクター3では苦戦を強いられる。自然吸気エンジンを搭載するRC F GT3はターボエンジン車勢に比べてコーナー立ち上がりでの加速に弱点があるからだ。そのため前半セクションで築いたタイムのマージンを、新田守男選手、高木真一選手というベテランコンビの走りでいかに維持し、この弱点を最小限に抑えるかが課題となる。
第2戦からBOP(バランス・オブ・パフォーマンス)調整(※)で車両重量が1315kgから1340kgへと25kg増加したことも新たな課題だ。この重量増というハンデをどう克服するかも問われる。
3時間レースでは戦略の幅が大きく広がる。給油を伴うピットインの義務が2回、かつレーススタートして5周目以降にピットインが可能となる今回のレースでは、タイヤ選択やスティントの組み方次第で順位を上げる可能性も広がる。燃費を意識しながら、なるべくタイヤにダメージを与えない走り方で徐々に上位に食い込む──ベテランコンビならではのこのような強みが活きる場面もあるだろう。
今シーズンの最大の変革点は、一新されたエンジニア陣による車両セッティングの進化にある。第1戦岡山で新田選手は「一瀬俊浩エンジニアをはじめとする今シーズンのエンジニア陣が作ってくれるマシンは異次元。今まで絶対できなかったクルマの動かし方ができるようになった」と高く評価している。
K-tunes Racingが採用しているダンロップタイヤはRC F GT3とのマッチング上、サスペンションのセッティングをハードな方向に仕上げると、タイヤに負担がかかりやすいという課題があった。新体制のエンジニアリングでは「足まわりのセッティングをソフトに挙動を許容する方向に仕上げても、すごく良いバランスで走れるクルマができている」と両ドライバーが手応えを感じており、レース戦略の幅も広がっている。
第1戦での6位入賞はチーム的には悔しい結果ながらも、新体制での初陣としては手応えを得た。特に燃料消費計算や燃料補給などストラテジー全般において強化された部分が見られ、従来の経験やデータに新たな知見が加わったことでチームの引き出しが増えたという。この蓄積を第2戦でも発揮し、効率的なレース運びで上位進出を狙う。
熟成されたK-tunes RC F GT3と経験豊富なドライバーコンビ、そこに新たなエンジニアリングのスパイスが加わった新体制のK-tunes Racing。これらの要素がうまく噛み合えば、第1戦の6位入賞からさらに上位を狙える可能性を秘めている。3時間という長丁場レースで、進化したマシンとベテランの走りがどのようなシナジーを生み出すか、注目の一戦となる。
(※)「BOP(バタンス・オブ・パフォーマンス)」は日本語で「性能調整」を意味し、異なる性能のマシンが競合するスーパーGTにおいて、各車両の性能差を埋め、より接戦で面白いレースを促すために導入されているシステム。