
速度を芸術に昇華する──
相澤陽介が創造する
K-tunes Racingの「SPEED ART」
2025年、K-tunes Racingが掲げた新しいチームコンセプト「SPEED ART」。この言葉が示すのは…
待望のSUPER GT 2025シーズンが例年通り岡山国際サーキットで幕を開けた。地元・岡山のホームコースで繰り広げられた激闘。予選19番手からの大逆転で新田・高木両選手が多くの地元ファンの声援に応え、見事6位入賞を果たした。
4月12日、晴天に恵まれた岡山国際サーキット。気温22℃という4月としては異例の暖かさの中、K-tunes Racingは2025年シーズンの初陣に臨んだ。例年通り岡山で幕を開けるSUPER GT。K-tunes Racingにとって最も思い入れの強いホームコースでの戦いの火蓋が切って落とされた。
2025 Series Previewでも触れた通り、今シーズンは新たに下江浩晃がチーフエンジニアに就任し、スーパーフォーミュラで2連覇に貢献した一瀬俊浩エンジニア、2年連続チャンピオンを支えた森藤健吾データエンジニアという強力な布陣でマシンを進化させてきた。
タイヤは予選・決勝合わせて4セットという制限のなか、チームはソフト寄りのコンパウンドを選択。しかし、想定以上の路面温度の高さがネックとなり、Q1に臨んだ新田守男選手は1分26秒114のタイムにとどまった。惜しくも9位のGAINER TANAX Zに0.075秒差で敗れ、Q2進出はならず。今シーズンから復活した「一発勝負型」のノックアウト方式により、19番手からの決勝スタートが確定した。
翌13日の決勝は一転、気温13℃の雨天。強風も加わり体感温度は10℃を下回る過酷なコンディションとなった。多くの地元ファンが見守る中、チームは挽回に向けた準備を整えた。
レースは13時10分、完全なウェットコンディションの中でスタート。新田選手がステアリングを握り19番グリッドからレインタイヤで走り出した。序盤、GT500クラスの多重クラッシュによる赤旗中断という波乱の展開。再スタート後も立て続けに発生するアクシデントでセーフティカーの導入が相次ぐ展開。
この荒れたレース展開の中、新田選手は冷静さを保ち37秒台の安定したラップタイムを刻み続けた。チームは他車が続々とピットインするなか、あえてウェットタイヤで粘る戦略を選択。50周目には5位まで順位を上げたところでピットイン。高木真一選手に交代し、ドライタイヤへと履き替えてコースに戻った。
ピットアウト後、一時13位まで順位を落としたものの、高木選手は路面温度が低く十分なグリップを得られない厳しいコンディションを巧みに操り、徐々にペースを上げていった。61周目には1分30秒505のベストラップを記録。安定した走りで次々と追い上げ、岡山の観客を沸かせながら73周時点では3位にまで浮上した。
しかし、レース終盤にかけてタイヤの限界が見え始め、まず75周目に1ポジション失い4位に後退。さらに77周目の最終コーナーでは後続車に接触されバランスを崩し、さらに2ポジションを失って6位まで順位を落とした。それでも予選19位からの13ポジションアップという驚異的な追い上げで、地元ファンの大きな声援を受けながら6位入賞を果たした。
新田選手は「クルマ自体は驚くほど乗りやすい」と語り、高木選手も「昨シーズンと比べると、まるで別次元の進化を遂げている」と賞賛。両ベテランが口を揃えて評価する新エンジニア体制下でのK-tunes RC F GT3。岡山という特別な舞台で、その潜在能力の高さを示した開幕戦となった。シーズン2戦目の富士への期待が高まる素晴らしいスタートである。
SUPER GT Round.1 岡山を終えて
予選では一発のタイム不足が課題でしたが、ドライバーからはマシンの乗りやすさについて好評価をいただいていました。荒天の決勝では、新田選手がウェットで50周まで粘る戦略と、高木選手の巧みな走りで19位から6位入賞を果たせました。難しいコンディションでチームワークを生かしたワンピット作戦が実を結びました。次戦富士に向けてさらに調整を重ねていきます。
Morio Nitta 新田守男 ドライバー
予選Q2進出を逃したのは悔しいですが、新体制の3人のエンジニアがダンロップタイヤに適した良いクルマに仕上げてくれています。決勝は最悪の路面状態でしたが、どう速く走れるか模索しながら周回を重ねました。チームの戦略のおかげで高木選手に良い形でバトンを渡せました。予選19位から諦めず一丸となって得たポイントです。次戦に向けてはドライのパフォーマンス不足を修正していきます。
Shinichi Takagi 高木真一 ドライバー
予選ではQ2進出できませんでしたが、決勝では19位スタートから新田選手がレインタイヤでギリギリまで粘ってくれたおかげで、私の担当した最終スティントではいい路面状況でスリックタイヤを選択することができました。その結果6位入賞という形で新しいエンジニアたちとの第一歩を踏み出せたことを嬉しく思います。今後も一つひとつ精度を高め、さらなる上位入賞を目指します。
Hiroaki Shimoe 下江浩晃 チーフエンジニア
決勝では、ヘビーウェットから雨が上がる中でドライタイヤに切り替えるベストタイミングを探りながら、新田選手に周回を重ねてもらいました。事前テストではウェットタイヤを履く状況があまりなく未知数でしたが、新田選手がタイヤに負担をかけない走りで50ラップを重ね、良いポジションでピットに入れたことが功を奏しました。第2戦富士に向けてさらに準備を進めていきます。
04/12 公式予選 岡山国際サーキット 天候:晴れ 路面:ドライ
04/13 決勝レース 岡山国際サーキット 天候:雨/曇り 路面:ウェット/ドライ
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