
ホームコースで喜びと試練98号車今シーズン初表彰台も両車にペナルティとトラブル
96号車 LEXUS RCF GT3――表彰台圏内の好走から一転、不運重…
9月12日-14日、鈴鹿サーキットでGT World Challenge Asia 2025 JAPAN CUP(GTWCJC)第7-8戦が開催される。昨シーズンこの地で96号車LEXUS RCF GT3が初優勝を飾り、98号車Ferrari 296 GT3も圧巻のポール・トゥ・ウィンで勝利を収めた記憶は今も鮮明に残る。しかし今年は98号車が同日程で開催されるSUZUKA 1000kmへ挑戦するため、それぞれ異なる舞台でK-tunes Racingの新たな挑戦が始まる。
今シーズン、96号車にはSUPER GT500クラスやSUPER FORMULAで活躍する福住仁嶺選手が加わった。
前戦岡山大会では、本格デビューから約8年を経たRCF GT3でありながら、最新のGT3マシンであるFerrari296 GT3勢と遜色ないラップタイムを刻み、圧巻の走りを見せた。鈴鹿でも同様のパフォーマンスが期待される。
ジェントルマンドライバーの末長一範選手も8月16日に開催されたインタープロトシリーズ第3戦では2022年第5戦以来となる優勝を飾るなど、ここ数年にないほど良いコンディションで鈴鹿を迎える。
鈴鹿大会では、これまでのSUGO、富士、岡山で蓄積された計6戦分のデータを活用したセットアップが鍵となる。ピレリタイヤがワンメイクのため、マシンセットアップの精度が勝敗を左右する。
福住選手も「末長選手ともう少しクルマをよく仕上げて、鈴鹿に挑みたい」と語っており、鈴鹿での練習走行でのマシン熟成に期待がかかる。
ただし課題もある。同じLEXUS RCF GT3で参戦するSUPER GTでは、今夏の極暑によってエンジンが本来のパフォーマンスを発揮できない症状が発生している。
予選は比較的涼しい午前中に実施されるため影響は最小限と予想されるが、9月13日のRace1は13時55分スタートのため、暑さによる影響が懸念される。
98号車Ferrari 296 GT3が挑むのは、GT WCAではなく同日開催される2025 Intercontinental GT Challenge(IGTC)第4戦「第49回 SUZUKA 1000km」だ。
この決断の背景には、K-tunes Racingが目指す方向性がある。末長一範チームオーナーが掲げる「人を鍛える」というモータースポーツ哲学の延長として、世界の舞台で戦うという目標を掲げており、今回の1000km参戦はその重要な足がかりと位置づけられている。
今シーズンのSUPER GTマレーシア大会で海外レースを体験したチームにとって、鈴鹿1000kmは日本にいながら世界レベルの戦いを経験できる貴重な機会だ。
メカニックにとっても、6回のピットストップが予定される長距離レースは、これまでとは異なる戦略性と技術力が要求される。
前戦岡山大会では、金曜日の公式練習でギアボックスが正常に機能せず、日曜日のRace2ではエンジンが吹け上がらないという問題が発生した。チームはこれを前向きに捉えている。
原因は同一の配線不良であったことが判明し、既に対策は完了している。むしろ1000kmレースで同様のトラブルが発生していれば致命的だったところを、事前に洗い出せたことは幸運だった。
1000kmレースでは、高木真一選手と山脇大輔選手に加え、SUPER耐久で活躍するショーン・ウォーキンショー選手が3人目のドライバーとして参加する。
高木選手とショーン選手はSUPER GT時代にARTAでコンビを組んだ経験があり、現在もスーパー耐久で監督とドライバーとして厚い信頼関係を築いている。
マシンに目を向けても、Ferrari 296 GT3は世界各地の耐久レースで実績を残している。ル・マン24時間レースやWEC(世界耐久選手権)での結果が示すように、その耐久レースへの適性は実証済みである。
ドライバー、マシンともに万全な状態で、K-tunes Racingは新たなる挑戦に臨む。
今回の鈴鹿大会では、96号車はJAPAN CUPで表彰台に立ち、現在4位につけるシリーズタイトル争いでさらに上を目指す。一方、98号車は世界への扉を開く重要な一歩として、国際舞台での経験を積む。
前戦岡山大会で98号車が表彰台を獲得したことで、チーム全体に良い流れが生まれており、それぞれ異なる舞台で勝利を目指すK-tunes Racingの新たな挑戦が、9月12日-14日の鈴鹿で繰り広げられる。