
【2025年Rd.6 Sugo】バリバリの岡山弁
2025年9月20日・21日に宮城県のスポーツランドSUGOで行わ…
9月13日(土)・14日(日)、鈴鹿サーキットでGT World Challenge Asia 2025 JAPAN CUP第7-8戦と2025 Intercontinental GT Challenge(IGTC)第4戦「第49回 SUZUKA 1000km」が開催され、K-tunes Racingにとって悲喜こもごもの週末となった。
JAPAN CUPに参戦した96号車LEXUS RCF GT3はRace1でウェットコンディションを見事に攻略し11位完走を果たしたものの、Race2では序盤のエンジントラブルに続き、追い上げ途中でサスペンション破損が発生しリタイアに終わった。
一方、IGTC SUZUKA 1000kmの世界舞台に挑んだ98号車Ferrari 296 GT3は金曜日のエンジントラブルから一夜でエンジン換装を敢行、決勝では終盤のオイル漏れトラブルからの奇跡の復活を遂げ、日本チーム2位として表彰台を獲得した。
K-tunes Racingは98号車Ferrari 296 GT3をIGTC第4戦「第49回 SUZUKA 1000km」にエントリーしたため、JAPAN CUPには末長一範選手と福住仁嶺選手のPRO-AM(プロ-アマチュア)コンビによる96号車LEXUS RCF GT3の1台体制で参戦した。
13日午前中の予選は気温28℃、前夜の集中豪雨の影響でホームストレートとダンロップコーナー周辺が若干ウェット状態だったが、ほぼドライコンディションでの戦いとなった。
Q1では末長一範選手がステアリングを握り、最終的に2分07秒696で13位(クラス9位)。続くQ2は福住仁嶺選手が担当し、3ラップ目に6位となる2分01秒778を記録したが、他車もタイムを更新し、最終的に9位でQ2を終了した。
Q1の結果によりRace1は13番グリッド、Q2の結果によりRace2は9番グリッドからのスタートとなった。
13時55分スタートのRace1(Japan Cup Rd.7)は一転して雨との戦いとなった。13時30分頃から雨足が強まり、今シーズンのJAPAN CUP初のウェットレースが宣言された。
気温28.8℃、路面温度31.2℃と予想より低い中、通常のローリングスタートではなく、安全を考慮してセーフティカーに先導されて60分間のレースがスタートした。
末長選手は13番グリッドから2分25秒台で13位をキープ、レース序盤は雨が上がる中、8ラップ目には2分22秒895のベストタイムを記録するなど着実にペースアップする。
14時20分のピットオープン後、上位陣が続々とピットインする中、末長選手も10ラップでピットインし、ドライバーを福住選手に交代。タイヤ交換については、雨こそ上がったものの路面のウェットコンディションを鑑みてレインタイヤを選択した。
福住選手は15位でコース復帰すると、その後も路面状況が徐々に改善していく中で、スリックタイヤへの変更について無線でチームとやり取りを重ねた。
最終コーナーではスリックタイヤの方が速いとの福住選手からのコメントや、他チームがスリックタイヤでベストラップを更新していることなどを総合的に判断し、チームは14ラップで2度目のピットインを決断。福住選手はスリックタイヤに交換してコース復帰した。
タイヤ交換後の福住選手は水を得た魚のような走りを見せ、19ラップ目で2分10秒622、20ラップ目では2分08秒006と立て続けにベストラップを更新。トップ勢に迫るラップタイムで他車を追い上げ、最終的に総合11位(クラス9位)でチェッカーフラッグを受けた。
14日のRace2(Japan Cup Rd.8)はRace1のウェットとは一転し、安定したドライコンディションでの戦いとなった。気温29.6℃、路面温度33℃と前日よりやや高い数値を記録した。
このRace2は、福住選手にとって厳しい展開となる。まずフォーメーションラップからピットに戻った福住選手が、エンジンの再始動を試みたところ、かからないトラブルが発生。ECUなど電子制御系の問題と推測されたが、原因を特定できないままピットレーンがクローズとなり、96号車は不利なピットスタートを余儀なくされた。
9時06分、セーフティカー2周先導の後、隊列の最後尾19番手からレースがスタート。タイヤのウォームアップが不十分な状況だったが、福住選手は持ち前の走りでGT4クラスやGT3 AM(アマチュア)クラスの車両を次々にパス。
わずか4ラップで19番手から10番手まで9ポジションアップの見事な追い上げを見せ、5ラップ目には2分03秒734のベストタイムをマークした。
しかし6ラップ目、福住選手から「ステアリングセンターが左に寄っている」との無線が入り、7ラップでピットイン。メカニックが確認したところ、右リアサスペンションアームの付け根が破損していることが判明し、そのままリタイアとなった。
一方、Race2終了直後、チームに嬉しいニュースが届いた。TOYOTA GR Supra GT4 Evo2の97号車で参戦していた永井良周選手、ベティ・チェン選手がGT4 AM(アマチュア)クラスでシリーズチャンピオンに輝いたというのだ。96号車のリタイアに沈んだ空気が流れていたチームに、一転して歓声が響いた。
同日開催されたIGTC第4戦「第49回 SUZUKA 1000km」は、BMW、Porsche、Mercedes-AMG、Ferrariというレース界における主要メーカーが33台のGT3マシンでしのぎを削る、まさに世界最高峰の舞台となった。
元F1ドライバーのジャンカルロ・フィジケラ選手、小林可夢偉選手などのトップドライバーが一堂に会すなど、国内開催ながら海外レースさながらの豪華な顔ぶれが揃った。K-tunes Racingにとっては、こうした世界レベルの舞台で自らの実力を試す絶好の機会となった。
K-tunes Racingの98号車Ferrari 296 GT3は、こうした世界最高峰の舞台で戦いを繰り広げた。
ドライバーは高木真一選手、山脇大輔選手に加え、ショーン・ウォーキンショー選手が参加。ウォーキンショー選手は、かつて高木選手とのコンビでSUPER GT 300クラスに参戦した経験があるスコットランド人ドライバーだ。
同シリーズでは、ドライバーのFIAグレードの組み合わせによって、ワークスドライバーなどからなるPro(プロ)から全員がアマチュアドライバーのAm(アマチュア)まで5クラスに分類される。
K-tunes Racingはちょう真ん中となるBronzeクラスで参戦。ちなみにFIAグレードは、高木選手とウォーキンショー選手がSilver、山脇選手がBronzeだ。
ただし、参戦への道のりは決して平坦ではなかった。12日金曜日のテスト走行で、Ferrari 296 GT3のエンジンにトラブルが発生。ピットアウトしては1周でピットに戻る状況が続き、ほとんどテスト走行を行えなかったのだ。
公式プラクティス以降のエンジン交換にはペナルティが科せられるため、チームは思い切ってその時点でエンジンの換装を決断。
メカニックが夜通し作業を行い、13日の10時45分からの予備予選には新しいエンジンで臨むことができた。
同シリーズでは、Q1、Q2、Q3と3人のドライバーが予選を走り、それぞれのベストタイムの平均でグリッド順位が決まる。98号車は、総合25位(Bronzeクラス11番手)だったが、総合21位の30号車が規定違反で5ポジション下げられたため、24位(Bronzeクラス11番手)からのスタートとなった。
14日の決勝は6時間30分にわたって争われる耐久レース。第1スティントのウォーキンショー選手は12時50分にレースがスタートすると、24番グリッドから着実に順位を上げた。
続く第2スティントの高木選手は2分03秒台の安定したペースで周回を重ね、上位チームのピットインによる順位変動もあり、61ラップ目のピットイン時には11位(Bronzeクラス2位)まで順位を上げていた。
第3スティントは山脇選手、第4スティントは再び高木選手が担当。第4スティントの高木選手は2分02秒489のベストラップを記録するなど上位勢に迫るタイムで周回を重ねた。
残り1時間48分のときに、同クラスに参戦するMAEZAWA RACING 555号車が130Rのアウト側にコースアウト。ロングFCYが導入される。
高木選手はこの間にドライバー交代すべくピットインしたところ、メカニックがオイル漏れを発見。原因を調べたところ、すぐにオイルタンクが破損していることが判明する。
その時点でレースは残り1時間39分。オイルタンクの交換には時間を要するため、このままリタイアかと思われたが、レース終了の4分前までにコースに復帰できれば完走扱いになるため、オイルタンク交換を実施することに。
メカニックの懸命な作業により、なんとか応急修理を完了し、19時12分、レース残り5分でウォーキンショー選手はコースに復帰を果たし、19時26分、チェッカーフラッグを受けた。
見事完走を達成したドライバーとチームに、さらなる嬉しい知らせが届く。IGTC SUZUKA 1000kmに参戦している日本チーム2位として表彰台で表彰されることになったのだ。一時はリタイアに追い込まれそうになった98号車だが、この知らせにメンバー全員が歓喜に沸いた。
GT World Challenge Asia 2025 JAPAN CUPの今シーズン最後のレースは、96号車の末長選手と福住選手にとってマシントラブルに泣かされる結果となった。
K-tunes Racingは昨シーズン、同シリーズで98号車がシリーズチャンピオンに輝いたが、今シーズンも97号車がタイトルを獲得できたのは、チーム一丸となって戦ってきた一人一人の努力の賜といえるだろう。来シーズンに向けて、さらなる飛躍が期待される。
※FCY(フルコースイエロー):レース中にトラブルが発生したとき、コース全域で追い越しが禁止となり、全車規定速度に落として走行するレースコントロールシステム。赤旗やセーフティカーを出すまでではない小規模なアクシデント、デブリの回収などに対して安全確保のために講じられる。
GT WCA 2025 JAPAN CUP Rd.7-8 & 2025 IGTC Rd.4 SUZUKA 1000kmを終えて
今回の週末は天候の変化もあり、セットアップに苦労する厳しいレースウィークでした。昨日のRace1はまずまず走れていたと思いますが、今日はエンジンと足回りの主要部分にトラブルが発生してしまいました。走りたくても走れないのはドライバーとして辛いですね。特に福住選手は日本を代表するトップドライバーなので、チームオーナーとしてもっと良い状態で走らせてあげられず申し訳なく思っています。ただ、福住選手との信頼関係は深まり、クルマを一緒に作り上げる面白さを感じることができました。来年の体制はまだ決まっていませんが、GT World ChallengeとIntercontinental GT Challenge SUZUKA 1000kmともに参戦したいと思っているので、良い結果を残せるよう準備していきます。
Nirei Fukuzumi 福住仁嶺 ドライバー
今回は乗り始めからマシンのポテンシャルが高くなく、予選でも根本的な速さが足りませんでした。Race1では戦略やオペレーションがうまくいかず、改めてチームの課題が見えた部分もありました。Race2はトラブルが重なり、不運な週末でしたが、こうした経験が次につながると思います。末長選手とのプロ-アマコンビは非常に楽しく、お互いに学び合える部分が多いカテゴリーです。教えることで自分も学べますし、同じクルマで走るからこそ分かり合える部分もあります。来シーズンについてはまだ分かりませんが、もし参戦の機会をいただけるなら、今回の悔しさを晴らすような結果を残したいですね。
Shinichi Takagi 高木真一 ドライバー
トラブルに始まりトラブルで終わってしまいましたが、クルマのパフォーマンス自体は悪くなかったです。気温の変化によってクルマのバランスが変わる様子なども確認できましたし、ピレリのワンメイクタイヤの特性も掴むことができ、今後セッティングを仕上げる上で勉強になりました。K-tunes RacingとしてはFIA世界選手権の舞台でポルシェやメルセデス、BMWなどワークス勢との差を体感できました。チームとして耐久レースの経験が少なかった中で、今後の耐久レース運営のノウハウを学べたのは大きな収穫です。日本チーム2位で表彰台に立てたのは嬉しい結果でした。来年もぜひ挑戦したいですね。
Yoshichika Nagai 永井良周 ドライバー
まさかシリーズチャンピオンを獲得できるとは全く想像していませんでした。レース終了後に結果を見て驚きましたが、本当に嬉しいです。今シーズンは3戦に出場しましたが、レースの厳しさや難しさを改めて実感しました。表彰台に立たせていただき、K-tunes Racingとして良い形でシーズンを締めくくることができました。私は決して速いドライバーではありませんが、地道に走り続けてクルマを壊さずに完走することを心がけています。そうした確実なレース運びが今回の結果につながったのかもしれません。チームにとって明るい材料になったと思いますし、来年も機会があればぜひ頑張りたいと思います。
09/13 GT WCA JAPAN CUP決勝Rd.7 鈴鹿サーキット 天候:雨-曇り 路面:ウェット-ドライ
09/14 GT WCA JAPAN CUP 決勝Rd.8 鈴鹿サーキット 天候:曇り-晴れ 路面:ドライ
09/14 IGTC Rd.4 決勝 鈴鹿サーキット 天候:曇り-晴れ 路面:ドライ
Kazunori Suenaga 末長一範 ドライバー