タイヤ戦略の難しい判断を迫られるも
粘りの走りで18位完走から17位に繰り上がり
10月19日(日)、オートポリス インターナショナル レーシングコースで2025 AUTOBACS SUPER GT 第7戦「AUTOPOLIS GT 3Hours RACE」の決勝レースが行われました。
96号車K-tunes RCF GT3は22番グリッドからスタートし、18位でフィニッシュ。レース終了後、15位の31号車に車両規定違反が発覚したため、1つ繰り上がって17位という結果となりましたが、惜しくもポイント獲得圏内の15位には届きませんでした。
予選と同様に不安定な天候の中でスタート
決勝当日の午前中は、前日の予選と同様に雲が多いながらも秋の柔らかな陽光が降り注ぎ、絶好のレース観戦日和。しかし、午後に時間が進むにつれてオートポリス上空に低い雲が立ち込め、冷たい風も吹き始めます。
天気予報では決勝レースが行われる時間帯の降水確率が50~70%と予想されており、チームはウェットタイヤも用意するなど、前日と同様に難しい天候判断が求められる状況でした。
気温25℃、路面温度28℃と前日の公式予選時よりやや高いコンディションの中、13時16分、3時間という長丁場の決勝レースがスタートしました。
新タイヤからの戦略変更
高木真一選手がステアリングを握る96号車は、22番グリッドからスタートし、1周目の混戦をうまく切り抜けて19位にポジションアップ。
今回のレースでは、ダンロップが新しく開発したコンパウンドのタイヤを投入しています。第6戦SUGOで使用したものより1段階ソフトなタイヤでしたが、10ラップほどを走った高木選手から「第1スティントを通してパフォーマンスを維持するのが難しそう」との無線が入りました。
そこで12ラップ目にGT500マシン同士の接触によりセーフティカーが導入されたタイミングで、高木選手とチームは重大な決断を下します。
土曜日の公式練習から新コンパウンドタイヤに合わせてセットアップを煮詰めてきましたが、15ラップで高木選手がピットインし、新コンパウンドではなく、従来の実績あるタイヤへの交換に踏み切ったのです。
給油とタイヤ交換を行い、K-tunes RCF GT3は25位でコースに復帰しましたが、この決断は前日から新コンパウンドタイヤに適合させてきたセットアップが活かせなくなることを意味しており、高木選手とチームにとって苦渋の選択となりました。
粘り強い走りで順位を上げる
その後、各車のピットインによる順位変動で徐々にポジションを上げ、残り1時間53分の時点で14位まで浮上します。
残り1時間13分、360号車のトラブルによりFCY(フルコースイエロー)が導入されるのを見越して、チームは54ラップ目に2度目のピットインを実施。タイヤ交換と給油、そしてドライバーを新田守男選手に交代しました。
22位でコースに復帰した新田選手は粘り強い走りを続け、他車のピットインによる順位変動で17位までポジションを回復。残り9分の87ラップでは後続車2台にオーバーテイクされ19位に後退しましたが、他チームのピットインによる順位変動で最終的には18位でチェッカーフラッグを受けました。
最終戦もてぎへ、巻き返しへの期待
今回のレースでは、新コンパウンドタイヤで3時間レースを戦い抜くのが難しいと判断し、序盤での戦略変更を余儀なくされました。
さらにレース後半では、オートポリス特有のピックアップ(タイヤカスのトレッド面への付着)や路面温度が下がったことによるタイヤの内圧低下などで、タイヤが本来の性能を発揮できず苦しい展開となりました。
惜しくもポイント獲得はならず、チームランキングは19位から20位へとひとつポジションを落とす結果に。しかし、タイヤの選択など難しい判断を迫られる中での粘り強い戦いぶりは、チームにとって貴重な経験となりました。
最終戦となる第8戦ツインリンクもてぎでは、事前テストで良好なフィーリングを得ており、セットアップの方向性にも手応えを感じています。新田選手、高木選手のベテランコンビを中心に、チーム一丸となって少しでも上位のポジションを目指し、シーズンを締めくくります。




Masahiko Kageya 影山正彦 Team Director