得意のコースで迎えるシーズン後半戦ベテランの経験と有利なサクセスウェイトで上位へ
開幕から4戦、積み上げた27ポイント 開幕から4戦を終え…
三重県の鈴鹿サーキットで8月22日(土)・23日(日)、「2026 AUTOBACS SUPER GT 第5戦 SUZUKA GT 300km RACE」が開催された。15番グリッドから決勝レースをスタートした96号車K-tunes RCF GT3は、序盤の接触アクシデントとスローパンクチャーで最下位まで後退する苦しい展開を強いられたが、新田守男選手・高木真一選手のベテランコンビが粘り強く走り抜き、26位でフィニッシュ。トップから1ラップ以内で完走という条件を満たし、貴重な3ポイントを獲得した。
8月22日午前9時45分、気温31℃・路面温度39℃という夏本番の厳しい暑さの中、公式練習が始まった。チームはブリヂストンが鈴鹿向けに投入した新コンパウンドタイヤを、ソフト1セット、ハード3セット持ち込んだ。


ハードタイヤを履いた新田守男選手は、ヘアピンコーナー、シケインなどフロントに荷重が大きくかかる場面でリアのグリップが抜ける挙動を無線で報告。続いてステアリングを握った高木真一選手からも、デグナーカーブのブレーキングで同様の症状を訴える無線が届いた。


一瀬俊浩チーフエンジニアをはじめとするエンジニア陣は、この挙動を抑えるべくフロント・リアのサスペンションをハードな方向へ調整し、フロントは限界まで硬めた。
あわせてチンスポイラーの位置を調整し、フロントのダウンフォースを高めた。コーナー入り口でよりインに向きやすくするためだった。
15時30分に始まった予選Q1 Aグループでは路面温度が51℃まで上昇し、狙いどおりハードタイヤが機能する条件が整う。


クリアラップをとれるポジションをうかがいながら4分50秒間ピットに留まり、残り5分10秒でコースインした高木選手は、終了間際の3周目に1分58秒279をマークし4番手でQ2進出。
続くQ2は新田選手がステアリングを握り、3周目の1分58秒596で一時9番手につけたが、ライバル勢がタイムを更新し15番手へ後退。23日の決勝は15番グリッドからのスタートとなる。


ヘアピンやシケインなどの低速コーナー以外は常にダウンフォースを効かせて走る鈴鹿は、前走車に近づくとそれが抜けるためオーバーテイクポイントが限られるレイアウトとして知られる。しかし、かつてブリヂストンタイヤで2年連続優勝を飾った相性の良い舞台でもあり、決勝での上位進出に期待がかかった。
RCF GT3は昨シーズン、真夏のレースで暑さによりエンジンが本来のパフォーマンスを発揮しない兆候が見られた。今シーズンも第4戦富士大会でホームストレートのトップスピードがトップ勢より7km/h低いという課題が浮き彫りになっている。


決勝当日は夏の日差しが照りつけ、気温34℃、路面温度49℃まで上昇。エンジンパフォーマンスへの不安は拭えなかった。前述の通り、鈴鹿サーキットはオーバーテイクポイントがヘアピンやシケインなどに限られるが、そこではエンジンパワーによる加速が勝負となる。
そこでチームは、ピット作業時間を短縮すべく、ピットインではより負荷のかかるフロント2輪のみを交換する戦略をとることにした。フロントだけを新品にすれば、リアのグリップが負けてオーバーステア傾向が強まるため、エンジニア陣はあらかじめアンダーステア寄りにセットアップをまとめた。


決勝は第1スティントを新田守男選手が担当。300kmのレースは、パレードランとフォーメーションラップを経て13時37分にスタートした。
12番グリッドの4号車がウォームアップ中のトラブルでピットスタートとなり、96号車は繰り上がって14位になった。新田選手は序盤14位をキープしたが、8ラップ目に後続の5号車にかわされ15位に後退する。


続く9ラップ目、ヘアピンコーナーの立ち上がりで直後の48号車にイン側から接触される。この時点では走行に支障はなかったが、10ラップ目の1コーナーで突如クルマの挙動が乱れ、続くS字コーナーではブレーキが効かず一瞬コントロールを失いかける。接触の際に左リアタイヤへ生じたスローパンクチャーが原因だった。
新田選手はすぐさまピットに戻り、リア2輪を交換しコースへ復帰したが、ポジションは最下位の29位まで後退してしまう。


S字コーナーで61号車と45号車が接触しFCYが導入される場面もあったが、96号車は計画どおり15ラップでピットイン。フロント2輪の交換と給油、そして高木真一選手へのドライバー交代を終え、コースへ復帰した。
高木選手は61号車のリタイアで28位に浮上。本来のエンジンパフォーマンスが得られず、加速のたびにライバルとの差を突きつけられる我慢のレースが続く中、トップから1ラップ遅れで周回を重ねる。


28ラップ目に「右のフロントタイヤが辛くなってきた」と無線で伝えながらも粘り強く走り続け、40ラップ目には6番手の87号車のトラブルで27位にポジションを上げた。
ゴールまで残り5ラップとなった終盤、130Rで52号車がトラブルによりコースアウトするアクシデントが発生し、FCYを経てセーフティカーが導入されたままレースは終了を迎える。


この52号車のコースアウトによって96号車は26位に繰り上がり、15時25分、47周を走りチェッカーフラッグを受けた。
トップから1ラップ以内で完走でき、貴重な3ポイントを手にするも、開幕からの累計は27ポイントとなり、チームランキングは第4戦終了時の11位から14位に3ポジション後退した。
接触とパンクに見舞われながらも、収穫はあった。フロント2輪のみを交換する戦略は、レースの中で一定の有効性を確認でき、ブリヂストンタイヤも厳しい暑さのなか安定感のあるパフォーマンスを発揮した。


次戦第6戦は9月19日・20日、宮城県のスポーツランドSUGOで開催される。真夏を過ぎ気温が落ち着くこの時季なら、エンジンパフォーマンスの低下も幾分やわらぐ見込みで、そもそもSUGOはRCF GT3が比較的得意とするレイアウトでもある。新田守男選手・高木真一選手とチームは、シーズン終盤を迎え、少しでも上位でのフィニッシュを目指す。


SUPER GT Rd.5 SUZUKAを終えて
土曜日午前の練習走行を見て、決して悪くない順位で決勝をスタートできると考えていましたが、結果は15番グリッドでした。それでもブリヂストンタイヤへの信頼は高く、決勝のロングランには期待が持てました。レース中の接触アクシデントは非常に残念でしたが、完走3ポイントを獲得できたのは、せめてもの救いです。シーズン終盤を迎え、次戦SUGO大会以降は着実に上位に入り、ポイントを積み上げていきたいと思います。
Morio Nitta 新田守男 ドライバー
土曜日は朝から前後サスペンションを固める方向で調整を重ね、クルマの状態は良くなっていましたが、セットアップ変更後の最終状態を把握できないまま予選Q2に入り、うまくアジャストできなかったのが悔やまれます。決勝は接触アクシデントからスローパンクチャーに見舞われて周回遅れとなったため、他のクルマの走行を妨げないよう気を配りながらの走行になったのが厳しかったです。ただ、クルマの状態は悪くなく、SUGOというサーキットもRCF GT3にとってパフォーマンスを発揮しやすいレイアウトなので、次戦は上位でゴールしたいと思います。
Shinichi Takagi 高木真一 ドライバー
予選は、130Rなど高速コーナーでわずかにアンダーステアが出る場面もありましたが、それ以外はイメージ通りの走りができました。決勝でもクルマは鈴鹿仕様としてよく仕上がり、コーナリングの感触は悪くありませんでした。ただ、アクセルを開けて加速するあらゆる場面で他のクルマに離され、パワーの差を痛感しました。次戦のSUGOは今回ほど暑さが厳しくないと思うので、エンジンパフォーマンスの回復に期待しつつ、上位を目指したいと思います。
Takahiro Kimoto 木元崇裕 メカニック
岡山トヨペットのディーラーの整備士だったのですが、今年の6月にK-tunes Racingへ異動となり、レース現場は鈴鹿大会が3戦目になります。市販車の整備とは違い、ネジ1本を締めるにしてもトルク管理の精度が桁違いだったりと、レースならではのシビアさに日々慣れているところです。自分が携わったマシンが上位に入ることが目標で、チーム全員でその目標を共有できるのがレースメカニックとしての大きなやりがいです。SUPER GTでは、今はサポート役ですが、少しでも早く担当を任せてもらえるよう頑張りたいと思います。
08.22 公式予選Q1 Aグループ 鈴鹿サーキット 天候:晴れ 路面:ドライ
08.22 公式予選Q2 鈴鹿サーキット 天候:晴れ 路面:ドライ
08.23 決勝レース 鈴鹿サーキット 天候:晴れ 路面:ドライ
Masahiko Kageyama 影山正彦 監督