阿蘇の山岳コースで迎える3時間の長丁場かつて表彰台に立った舞台でシングルフィニッシュを目指す
全戦完走で重ねた30ポイント 今シーズンは、開幕戦岡山…
9月12日(土)・13日(日)、三重県の鈴鹿サーキットでGT World Challenge Asia JAPAN CUP 2026の最終ラウンドとなる第7-8戦が開催された。97号車Ferrari 296 GT3は、アマチュアドライバーのベティ・チェン選手側の事情により大会直前に参戦を取りやめ、K-tunes Racingは96号車1台での戦いとなった。
開幕戦SUGO大会の公式練習でエンジンブローが発生して以来、96号車のChevrolet Corvette Z06 GT3.Rは原因究明と修理に時間を要し、富士大会・岡山大会は代替車両での参戦が続いていた。


同車を手掛けるGM(ゼネラルモーターズ)本国スタッフの協力も得ながら復旧を進めてきたチームにとって、シーズン最終戦の鈴鹿は、ようやくコルベットで戦える大会となった。
ステアリングを握るのは、末長一範選手(アマチュア)と阪口晴南選手(プロフェッショナル)のコンビ。金曜日の公式練習は雨に見舞われ、二人がChevrolet Corvette Z06 GT3.Rでドライコンディションを走るのは、土曜日の予選がほぼ初めてだった。


GT WCA JAPAN CUPでは、予選Q1をアマチュアドライバーが担当する規定だ。12日(土)9時、末長選手が駆るChevrolet Corvette Z06 GT3.Rがピットレーンに出ると、アメリカンV8ならではの重低音が響き渡った。



空は雲に覆われ、気温25℃・路面温度28℃、風はほとんどない。末長選手は、前走車との距離を調整しながらウォームアップを重ねると、4周目に入るストレート手前で「ここからアタックです」と辻凱杜チーフエンジニアの無線が飛ぶ。
折しも130R出口では555号車がコースアウトから復帰する場面があり、96号車はわずかにラインを変えてこれをかわしながらアタックを続けた。
5周目、末長選手は自己ベスト2分04秒729をマーク。以降タイムは更新できず、9番手でQ1を終えた。


阪口選手が担当するQ2は9時22分にスタート。決勝で使用するスリックタイヤの皮むきのため1周走行した後、ピットインして予選用タイヤに交換。アタックタイミングを見計らいながらピットに留まり、残り8分50秒で改めてコースインした。
残り4分15秒、4周目のアタックでは、セクター1で全体ベストを記録するも最終セクターで伸び悩み、1分59秒745で3番手にとどまる。5周目もこのタイムを更新できず、セッション終了間際にコントロールラインを通過して最後のアタックに挑んだが、記録は変わらず総合4番手でQ2を終えた。


Q1の結果が決勝レースRd.7、Q2の結果がRd.8のスターティンググリッドとなるため、Rd.7は末長選手が9番グリッドから、Rd.8は阪口選手が4番グリッドからスタートする。
予選のタイムは「もう少し詰められた」と感じていた阪口選手だが、同時にクルマのポテンシャルの高さも感じ取っていた。そのフィードバックをもとにチームで話し合い、辻チーフエンジニアは前後の足まわりを固める方向へセットアップを大きく変更する。


あわせてフロントサスペンションには、縮み切る直前でその動きを受け止めるパーツ「バンプラバー」を追加し、130Rや1コーナーなど荷重の大きいコーナーでボディの動きを抑えた。これまで使っていなかった手法だ。予選前にこの方向性を見つけられなかったことを、阪口選手は悔やむ。
12日(土)13時45分、Rd.7がスタート。前戦岡山大会のRd.6を制していた96号車には、ピットストップ時に15秒のサクセスペナルティが科されている。



9番グリッドからスタートした末長選手は、1周目に発生した555号車と27号車の接触(27号車がグラベルにストップしセーフティカー導入)を受け、2周を終えた時点で7番手まで浮上した。その後もポジションをキープしたまま10周を終えてピットイン。
ステアリングを託された阪口選手は、ペナルティの影響で復帰直後は10番手まで後退したが、他チームのピットストップによる順位変動で7番手まで回復すると、そこからペースを上げていく。



22周目には45号車をパスして6番手に浮上し、そのまま6位でチェッカーフラッグを受けた。この間に阪口選手が記録したベストラップ2分01秒022は、優勝した1号車に次ぐレース全体2番手のタイムだ。「決勝では狙い通りのペースで走ることができた」と阪口選手。予選後のセットアップ変更が、そのままラップタイムに表れた。
13日(日)は前夜からの雨が残り、路面は各車が後方に水煙を上げながら走るほどのウェットコンディション。視界不良に加え、不安定な路面でアクシデントのリスクも高まることから、フォーメーションラップは取りやめられ、Rd.8はセーフティカーに先導されてのスタートとなった。



4番グリッドから走り出した阪口選手は、44号車のコースアウトによるFCY(フルコースイエロー)、さらに車両回収のための赤旗中断を挟みながらも、4番手をキープした。
12周を終えてピットに入り、末長選手に交代する。末長選手にとっては、走行経験のほとんどないChevrolet Corvette Z06 GT3.Rで、勝手知ったる岡山国際サーキットや富士スピードウェイとは違う鈴鹿のウェットコンディションに挑む、難しいスティントとなった。



5番手でアウトラップを終えた末長選手は、それでも確実に周回を重ねる。その後ポジションを落とし、17周目に45号車にかわされて8番手となったが、以降は順位を守って8位でフィニッシュした。
鈴鹿での2戦を終え、96号車はRd.7で8ポイント、Rd.8で4ポイントを獲得。シーズン合計60ポイントで、K-tunes RacingはJAPAN CUPのチームランキングを14チーム中7位で終えた。


JAPAN CUPの参戦チームのなかで、Chevrolet Corvette Z06 GT3.Rを走らせているのはK-tunes Racingだけだ。精悍なスタイリングや迫力あるV8サウンドは、鈴鹿サーキットでも観客や他チームの注目を集めていた。
Rd.7で記録したレース全体2番手のラップタイムは、同車のポテンシャルを示すものとなった。来シーズンの車両については未定だが、もしこのマシンで出走することになれば、さらに熟成が進んだ走りを見せてくれるはずだ。
GT World Challenge Asia JAPAN CUP 2026 Rd.7-8を終えて
今回のレースウィークでは金曜日に公式有料テストや公式練習と走行機会はありましたが、あいにくの雨でまともに走れたのは数周ほど。コルベットにほとんど乗れないまま、翌日の予選を迎えることになりました。それでも予選、決勝と徐々にペースを上げることができ、初めて乗る一台としては手応えのあるレースができたと思います。日曜のレース2(Rd.8)もウェットでのレースでしたが、無理をせず走りきり、確実に走行データを取れたことに意味があったと感じています。本来であれば、このクルマでシーズンを通して戦いたかったですが、最終戦の鈴鹿で阪口選手とともに、コルベットのパフォーマンスをお見せできたことを、心からうれしく思います。
Sena Sakaguchi 阪口晴南 ドライバー
予選のタイムはもう少し詰められた感触がありましたが、クルマのポテンシャルの高さは感じていたので、決勝に向けてチームと話し合い、足まわりを固める方向にセットアップを大きく変更しました。予選前にこの方向性を見つけられなかった悔しさはありますが、決勝では狙い通りのペースで走ることができました。レース2(Rd.8)は水量の多いウェットコンディションで苦労しましたが、コルベットの印象は良く、得意・不得意なコーナーも分かってきました。まだ詰め切れていない部分は多いですが、この大会で見えた可能性を、来シーズンにつなげていきたいと思います。
09/12 予選Q1 鈴鹿サーキット 天候:曇り 路面:ドライ
09/12 予選Q2 鈴鹿サーキット 天候:曇り 路面:ドライ
09/12 決勝Rd.7 鈴鹿サーキット 天候:晴れ 路面:ドライ
09/13 決勝Rd.8 鈴鹿サーキット 天候:雨 路面:ウェット
Kazunori Suenaga 末長一範 ドライバー