末長選手がジェントルマンクラス優勝<br>阪口選手はRd.1で4位もRd.2はマシントラブルでリタイア

2026.05.9-10 Inter Proto Series Rd.1-2 FUJI Race Report末長選手がジェントルマンクラス優勝
阪口選手はRd.1で4位もRd.2はマシントラブルでリタイア

by Koichi Yamaguchi/ May 25, 20262

5月9日・10日、静岡県の富士スピードウェイで開催されたインタープロトシリーズ(IPS)2026シーズン開幕戦。ジェントルマンクラスの末長一範選手は予選でダブルポールポジションを獲得し、第2戦ではエキスパートクラスのドライバーとも激しい戦いを繰り広げてジェントルマンクラス優勝を飾った。プロフェッショナルクラスの阪口晴南選手は第1戦を4位でフィニッシュしたが、第2戦は電気系トラブルでリタイアとなった。

レーシングドライバー=「ドライビングアスリート」が主役のモータースポーツ

「レースを、人が主役になる スポーツに」——このコンセプトのもと2013年にスタートしたインタープロトシリーズは、2026年でシリーズ14年目を迎えた。K-tunes Racingは2017年からこのシリーズへの参戦を継続しており、今シーズンもジェントルマンクラスに末長一範選手、プロフェッショナルクラスに阪口晴南選手が参戦する。

ジェントルマンクラスには、ジェントルマンクラス(G)と、格上であるジェントルマンエキスパートクラス(E)が存在する。末長選手が参戦するジェントルマンクラス(G)では、エキスパートクラス(E)のドライバーとも同じ舞台で競い、予選・決勝ともにカテゴリー総合の順位もチームの目標の一つとなっている。

このシリーズ最大の特徴は、シリーズ専用車両「kuruma」による完全イコールコンディションにある。4リッターV6エンジンをミッドシップに搭載し、ABSやトラクションコントロールといった電子制御デバイスを一切排除。横浜ゴムのワンメイクタイヤと相まって、まさに純粋なドライビングスキルが結果に直結する。

プロフェッショナルクラスには、K-tunes Racingの阪口晴南選手をはじめ、牧野任祐選手、山下健太選手、野尻智紀選手など、SUPER GT500やSUPER FORMULAといったトップカテゴリーで活躍するドライバーが多数参戦しており、毎戦レベルの高いバトルが繰り広げられる。

レースフォーマットも独特だ。土曜日午前に両クラスの公式予選が行われ、ジェントルマンクラスの決勝は土曜日午後(Rd.1)と日曜日午前(Rd.2)の2戦(各12周または25分)。プロフェッショナルクラスは日曜日午後に連続2戦(各9周または17分)で実施される。

プロフェッショナルクラスのRd.1が終わると、その順位のままグリッドに並んでRd.2がスタートする。タイヤ交換なしで2レースを連続して戦い切るため、Rd.1でいかにタイヤを温存できるかが重要な要素となる。

昨シーズンの実績と今シーズンへの期待

2025年シーズン、末長選手は第3戦と第5戦で優勝を飾り、ジェントルマンクラスのドライバーズランキングで3位を獲得した。2025年シーズンから合流したベテランの加藤博チーフエンジニアを中心にセットアップを煮詰め、格上のエキスパートクラスのドライバーたちと同等のタイムで走れる場面が増えてきた。

一方、阪口選手はシーズンを通じてマシントラブルに苦しめられたが、最終戦の雨のレースでは本来のスピードを発揮して6位入賞を果たし、「ドライでの課題は原因が見えてきているので、来シーズンはそれが解消できることを期待しています」と2026年シーズンへの意欲を語っていた。

ジェントルマンクラス

土曜日——予選でダブルポールポジション、第1戦はスピンでリタイア

5月9日土曜日、晴れ渡った富士スピードウェイで午前9時10分から20分間の公式予選がスタート。IPSの予選では1回のセッションで記録したベストタイムがRd.1のグリッドに、セカンドベストタイムがRd.2のグリッドに使用される。

末長選手は加藤チーフエンジニアとの無線で前後の走行車両の位置を確認しながらペースを調整し、クリアラップを確保してアタックに臨んだ。「位置取りは今回こだわりました。自分がどのタイミングでアタックするか、それも戦略的に考えて挑みました」と末長選手。

7周目に1分46秒481でジェントルマンクラストップ(総合4位)、セカンドベストの1分46秒493でも同クラストップ(総合2位)を記録し、いわゆるダブルポールポジションを達成した。

予選後、加藤チーフエンジニアは「総合1位とのタイム差はコンマ2秒。100Rの出口でもう少しプッシュできればそこまで届く」と末長選手の健闘を讃えた。

午後1時50分に始まった第1戦は、4番手からスタートした末長選手が1周目の100R出口でスピンしてコースアウト。順位を最後尾まで落としてピットに戻った。メカニックがダメージを確認したところ、レース復帰も可能だったが、残り11ラップのスプリントレースで順位を取り戻すのは現実的でなく、末長選手とチームは翌日の第2戦に向けてタイヤを温存するためにリタイアを選択した。

日曜日——エキスパートとも競り合う走りでジェントルマンクラス優勝

翌10日日曜日、予選セカンドベストタイムにより総合2位(ジェントルマンクラス1位)のグリッドを獲得した末長選手。圧倒的に有利なポジションから8時45分のスタートを迎えた。

2周目の第1コーナー進入でエキスパートクラスの37号車にパスされ総合3位にポジションをおとした末長選手だが、その後は4番手の32号車(エキスパートクラス)から何度もオーバーテイクを仕掛けられながらも、ミスのない安定した走りで押さえ込む。

ついに4周目の最終コーナーで32号車にパスを許したものの、ホームストレートでスリップストリームに飛び込み、アウト側からブレーキング勝負でかわし返すなど、エキスパートクラスのドライバーと互角の素晴らしい走りを見せた。「ブレーキングに自信があったから抑えられた感じがしました。前だけに意識を集中して走れました」と末長選手は振り返る。

10周目に2台のクルマが接触しコースアウトしたため、赤旗が振られてレースはそのまま終了。ジェントルマンクラス優勝が確定した。

プロフェッショナルクラス

土曜日——予選5番グリッドを獲得

プロフェッショナルクラスの公式予選は、土曜日12時10分スタート。阪口選手は開始から5分後の12時15分にピットアウト。2周のウォームアップを経てアタックに臨み、5ラップ目で1分45秒308を記録して一時3位に浮上した。

しかし、その後他車がタイムを更新したことで5位に後退し、最終アタックもタイム更新ならず、5番手で予選終了となった。ちなみに、ポールポジションは16号車ロニー・クインタレッリ選手の1分44秒831で、コンマ5秒弱の差だった。

日曜日——第1戦は4位フィニッシュ、第2戦は電気系トラブルでリタイア

ポールポジションの16号車が午前のジェントルマンレースでの接触ダメージにより出走できなかったため、阪口選手は4番手からのスタートに。15時35分、2026年シーズン第1戦の幕が開けた。

上位4台が団子のように連なる展開の中、阪口選手は何度も前走車にしかけていく。8周目の100Rで55号車・野尻智紀選手に並ばれ、ヘアピンコーナー手前でパスを許す場面もあったが、直後のダンロップコーナーへの飛び込みで再びオーバーテイクするなど手に汗握る戦いが続き、最終的に4位でチェッカーを受けた。

第1戦の順位のままグリッドにつき、16時02分、第2戦がスタート。阪口選手は再び4番手から前走車を追ったが、3周目に入ったところでバッテリートラブルの警告灯が点灯し、スローダウン。そのままリタイアを余儀なくされた。

「Rd.2でトラブルがなく、あのままレースが進んでいたとしてもマックスで3位だったと思います。前の2台との差は、近いように見えて結構あります。もうワンステップ、改善すべきだなと痛感しました」とレース後に阪口選手は語った。

次戦に向けて

末長選手は開幕戦でダブルポールポジションと第2戦優勝という結果を残した。エキスパートクラスのドライバーとも渡り合える走りは、昨シーズン後半からつかみかけていたペースが今季に続いていることの証しだ。

阪口選手は第1戦で上位勢と戦えるポテンシャルを示したが、惜しくも第2戦はマシントラブルでリタイアとなった。次回の第2大会は9月5-6日に同じく富士スピードウェイで開催される。残暑の中、厳しいコンディションが予想されるが、2人のドライバーの活躍に注目していただきたい。

Comments

Inter Proto Series 2026 Rd.1-2を終えて

  • Kazunori Suenaga

    Kazunori Suenaga 末長一範 ドライバー

    予選は、過去に前走車に引っかかってタイムをロスした経験があるので、今回はどのタイミングでアタックに入るかも含めて戦略的に考えて臨みました。クルマの状態もタイヤの内圧もバッチリ合っていたので、ダブルポールという結果に結びつきました。第1戦でのスピンは悔しかったですが、第2戦はブレーキングに自信を持てて、前だけに意識を集中して走れました。昨シーズン後半からつかみかけていたペースを今シーズンも維持し、ジェントルマンクラスの優勝はもちろん、エキスパートクラスの集団とも絡んでいける走りをコンスタントに見せていきたいと思います。

  • Sena Sakaguchi

    Sena Sakaguchi 阪口晴南 ドライバー

    昨シーズンからクルマのセットアップを改善してきた結果が上位勢と競えるポジションというかたちで表れてきており、レベルアップを実感できた開幕戦でした。第1戦はあと少しで表彰台という位置まで来ましたが、トップ2台のクルマとの差は近いようで結構ある。クルマをもうワンステップ改善すべきだと痛感しましたが、課題は見えています。次戦は9月初旬でコンディションが大きく変わりますが、速いクルマは変わらないと思うので、チームとしっかり準備してレースに臨みたいです。

Results

Inter Proto Series 2026 Rd.1-2

  • Number
    96
  • Machine
    kuruma
  • Driver
    末長一範

05/09 ジェントルマンクラス公式予選 富士スピードウェイ 天候:晴れ 路面:ドライ

  • Position
    ジェントルマン1位 / エキスパート・ジェントルマン総合4位
  • Best Time
    1'46.481(セカンドベスト 1'46.493)

05/09 ジェントルマンクラス第1戦決勝 富士スピードウェイ 天候:晴れ 路面:ドライ

  • Position 
    リタイア

05/10 ジェントルマンクラス第2戦決勝 富士スピードウェイ 天候:晴れ 路面:ドライ

  • Position
    ジェントルマン1位 / エキスパート・ジェントルマン総合4位 
  • Best Time
    1'47.871
  • Driver
  • 阪口晴南

05/09 プロフェッショナルクラス公式予選 富士スピードウェイ 天候:晴れ 路面:ドライ

  • Position
    5位
  • Best Time
    1'45.308

05/10 プロフェッショナルクラス第1戦決勝 富士スピードウェイ 天候:晴れ 路面:ドライ

  • Position
    4位
  • Best Time
    1'45.726

05/10 プロフェッショナルクラス第2戦決勝 富士スピードウェイ 天候:晴れ 路面:ドライ

  • Position
    リタイア
  • Best Time
    1'46.165

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