96号車は表彰台圏内から一転、痛恨のペナルティで10位に<br>97号車は予選の苦戦を、決勝の確実な走りで挽回

2026.07.11-12 GT WCA JAPAN CUP 2026 Rd.3-4 FUJI Race Report 96号車は表彰台圏内から一転、痛恨のペナルティで10位に
97号車は予選の苦戦を、決勝の確実な走りで挽回

by Koichi Yamaguchi/ July 20, 2026

7月11日(土)・12日(日)、静岡県の富士スピードウェイでGT World Challenge Asia (GT WCA)JAPAN CUP 2026第3-4戦が開催された。開幕戦SUGO大会の公式練習でエンジンブローに見舞われた96号車Chevrolet Corvette Z06 GT3.Rは、修復が間に合わず急遽LEXUS RCF GT3での参戦に。一方、SUGO第2戦のアクシデントでダメージを負った97号車Ferrari 296 GT3は、入念な修復作業を経て万全の状態で富士に臨んだ。

96号車 LEXUS RCF GT3——福住選手、Rd.4は圧巻の走りで11番グリッドから5位浮上、4番手に0.6秒差まで迫る

予選は11日午前、薄曇りの空の下で行われた。気温25℃、路面温度31℃、湿度50%という重い空気の中、96号車は木曜のテストから続けてきた「曲がりすぎ」を抑えるセットアップを、金曜の公式練習と予備予選でまとめ上げてセッションに臨む。

ジェントルマンドライバーの末長一範選手が担当したQ1は1分41秒979で8位。プロフェッショナルドライバーの福住仁嶺選手がステアリングを握ったQ2では、一時5番手まで浮上する場面もあったが、最終的には6位でフィニッシュした。

決勝Rd.3は11日午後15時15分にスタート。路面温度は43.8℃、気温28℃と、午前の予選時と比べて10℃以上も高く、タイヤは早々にグリップを得やすいコンディションだった。

8番グリッドからスタートした末長選手だったが、オープニングラップのコカコーラコーナーで66号車Ferrari 488 GT3 EVOと接触。そのままコースアウトし、無念のリタイアを喫した。

コースサイドにストップした96号車の収容のためSC(セーフティカー)が導入され、レースは3周のあいだ隊列走行に。このアクシデントにより、96号車にはRd.4での5グリッド降格のペナルティが科されることになる。

12日のRd.4は15時にスタート。路面温度は36℃と、前日Rd.3のスタート時より8℃近く低下しており、雨の気配も漂う不安定な空模様で、ウェットタイヤも準備しての臨戦となった。

降格ペナルティにより11番グリッドに沈んだ福住選手は、オープニングラップのGRコーナー付近で発生した接触アクシデントによる混乱を巧みにすり抜けて7番手まで浮上。わずか5周で5位まで押し上げると、15周目には4番手を走る1号車Ferrari 296 GT3との差を0.6秒まで詰める場面も見せた。

ドライバー交代が可能なピットウィンドウオープンはレース開始から25分〜35分の間。福住選手はその終了間際となる19周目にピットイン。バトンを受けた末長選手は、前走車のサクセスペナルティ(※)にも助けられて3番手でコースに復帰。一時4番手に落ちるも、ストレートで再び3番手を奪い返す。

だが、ここでチームに一報が届く。ピットストップ時間が規定の90秒に満たなかったとして、1秒のストップ&ゴーペナルティが科されたのだ。末長選手は再びピットインし、この処理で約50秒ものロスを喫す。順位は11番手まで後退し、最終的に総合10位(PRO-AMクラス8位)でチェッカーを受けた。

97号車 Ferrari 296 GT3——予選の苦戦から一転、Rd.3、Rd.4ともに着実にポイントを重ねる

97号車は、予選用にフロントをハードに仕上げたセットアップが裏目に出る。10日(金)の公式テストで路面温度が50℃近くまで上昇したのに対し、11日(土)の朝は31℃まで低下。低い路面温度とフロントがハードなセットアップとの相性が悪く、クルマは狙いよりも神経質な挙動が出てしまう。ジェントルマンドライバーのベティ・チェン選手が担当したQ1、プロフェッショナルドライバーの高木真一選手がステアリングを握ったQ2はともに10番手にとどまった。

予選での走りを受けて、11日午後の決勝レースRd.3はセットアップを変更して臨むことに。さらに予選から路面温度が10℃以上上昇したことで、ようやくクルマの挙動が安定してきた。実際、10番グリッドからスタートしたベティ選手は着実に周回を重ね、10周目にはトップ2台の接触もあって7番手までポジションを上げる。

レース開始25分でピットウィンドウがオープンし、ベティ選手は13周を終えて早々にピットイン。バトンを受けた高木選手はトップ勢と遜色ないペースで前を追い、26周目に45号車をかわして総合6位(PRO-AMクラス6位)でレースを終えた。

12日の決勝レースRd.4は、Rd.3で1号車と接触した19号車への5グリッド降格ペナルティもあり、10番グリッドから8番グリッドへ繰り上がってのスタートに。

高木選手はオープニングラップの混乱をすり抜けて6番手までポジションアップ。その後7番手前後で上位争いを続け、ピットウィンドウクローズ間際に7番手でピットインし第1スティントを終える。

第2スティントのベティ選手は前走車のペナルティにより一時5位にポジションアップ。しかし、終盤にかけて後続車に一台ずつパスされ、総合9位(PRO-AMクラス7位)まで順位を落としての完走となった。

それでも大きなミスなくチェッカーを受けたことは、今季からGT3にステップアップしたばかりのベティ選手にとって、確かな収穫といえるだろう。Rd.3はPRO-AMクラス6位で8点、Rd.4は同クラス7位で6点を獲得し、着実にドライバーズポイントを積み重ねた。

富士大会での戦いを振り返って

今大会は、96号車が決勝Rd.4で一時3位、97号車もRd.4で5位まで浮上する場面を作りながら、ペナルティとアクシデントに阻まれ、ともに表彰台を逃す結果となった。

ドライビングや、ミスなく冷静にレースを運んだベティ選手の走りには、次戦に向けて明るい材料となった。舞台はホームコースの岡山国際サーキットへ移る。地元の声援を力に変え、表彰台を目指す2台の走りに期待したい。

(※)GT WORLD CHALLENGE ASIA JAPAN CUPでは、前戦の上位3位に入った車両に対し、次レースのピットストップ時にサクセスペナルティ(1位15秒、2位10秒、3位5秒)が科せられる。

Comments

GT World Challenge Asia JAPAN CUP 2026 Rd.3-4を終えて

  • Kazunori Suenaga

    Kazunori Suenaga 末長一範 ドライバー

    Rd.4では、福住選手が素晴らしい走りで11番グリッドから5番手までポジションアップしてくれましたが、ピットでの連携ミスでペナルティを科せられてしまい、彼には申し訳ない気持ちです。一方、予選Q1では富士スピードウェイでの自己ベストとなる1分41秒979を記録でき、自分自身の成長を感じられました。96号車のメカニックは全員が岡山トヨペット出身で、人財育成というK-tunes Racingのテーマ通りに着実に力をつけています。次の地元・岡山大会では、彼らの成長をしっかり結果につなげたいと思います。

  • Nirei Fukuzumi

    Nirei Fukuzumi 福住仁嶺 ドライバー

    Rd.4はペナルティにより11番グリッドからのスタートとなりましたが、混乱をうまく切り抜けて5位までポジションを上げることができました。ただ、そこからはタイトコーナーが連続する後半のセクター3のコーナー立ち上がりでトルク不足を感じ、なかなか前のクルマに仕掛けられず、我慢のレースになりました。ストップ&ゴーペナルティも痛かったですが、まずは末長選手ともどもしっかり完走できたのは収穫です。次戦はコルベットで走りたい気持ちがありますが、どんな状況でもチームのために全力を尽くし、昨シーズン届かなかった表彰台を狙いたいと思います。

  • Betty Chen

    Betty Chen ベティ・チェン ドライバー

    昨シーズンのGTWCA JAPAN CUP富士大会でのマシントラブルによるアクシデント以来、富士スピードウェイに戻って走るのは今回が初めてで、正直少し不安もありました。Ferrari 296 GT3はこれまで経験したクルマよりずっとソフトにブレーキを踏まなければならず、まだ体が完全には慣れていません。そうした中でも一戦ごとに学びながら、レースを楽しんでいます。次戦の岡山国際サーキットは、かつて私がフォーミュラカーのドライビングを学んだ思い出の場所でもあり、7、8年ぶりに戻ってGT3マシンを走らせるのが、今からとても楽しみです。

  • Shinichi Takagi

    Shinichi Takagi 高木真一 ドライバー

    土曜日の予選は路面温度が想定より低かったこともあり、ピーキーな挙動が出て思うように走れませんでした。決勝レースでも、ストレートでの最高速度がトップ勢より3〜5km/hほど遅く、次戦に向けてはそのあたりの原因もしっかり探っていきたいと思います。その中でも、ベティ選手が週末を通してスピンもなく着実にペースを上げてくれたのは大きな収穫でした。次戦の岡山大会では、二人でしっかり協力して表彰台を狙いたいと思います。

Results

GT World Challenge Asia JAPAN CUP 2026 Rd.3-4

  • Number
    96
  • Machine
    LEXUS RCF GT3
  • Driver
    末長一範/福住仁嶺

07/11 決勝Rd.3 富士スピードウェイ 天候:曇り 路面:ドライ

  • Position
    Not Classified

07/12 決勝Rd.4 富士スピードウェイ 天候:曇り 路面:ドライ

  • Position
    総合10位 / GT3 PRO-AMクラス8位
  • Best Time
    1'39.497
  • Number
    97
  • Machine
    Ferrari 296 GT3
  • Driver
    ベティ・チェン/高木真一

07/11 決勝Rd.3 富士スピードウェイ 天候:曇り 路面:ドライ

  • Position
    総合6位 / GT3 PRO-AMクラス6位
  • Best Time
    1'40.252

決勝Rd.4 富士スピードウェイ 天候:曇り 路面:ドライ

  • Position
    総合9位 / GT3 PRO-AMクラス7位
  • Best Time
    1'40.050

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