96号車、地元岡山で悲願のポール・トゥ・ウィン<br>97号車もトラブルとペナルティを乗り越えてポイントを積む

2026.09.29-30 GT WCA JAPAN CUP 2026 Rd.5-6 OKAYAMA Race Report 96号車、地元岡山で悲願のポール・トゥ・ウィン
97号車もトラブルとペナルティを乗り越えてポイントを積む

by Koichi Yamaguchi/ September 07, 2026

8月29日(土)・30日(日)、岡山県の岡山国際サーキットでGT World Challenge Asia JAPAN CUP 2026第5-6戦が開催された。K-tunes Racingにとってホームコースとなる一戦だ。開幕戦SUGO大会でのエンジンブローから修復が間に合わない96号車Chevrolet Corvette Z06 GT3.Rは、前戦富士大会ではLEXUS RCF GT3、そして今大会はFerrari 296 GT3 EVOと、2大会続けて代替車両での参戦となった。

96号車 Ferrari 296 GT3 EVO──Rd.5は不運の接触アクシデントに見舞われる

福住仁嶺・末長一範両選手にとって初めてとなるFerrari 296 GT3 EVOでのレースウィークは、27日(木)の公式有料テストから始まった。

急遽の参戦決定でシェイクダウンしたばかりの車両だったが、デフォルトのセットアップの完成度は高く、辻凱杜チーフエンジニアは福住選手のフィードバックを踏まえ、前後サスペンションをソフトに、左右方向のスタビライザーをハードにチューニングする方向でセットアップを磨き上げていった。

29日(土)朝、雲に覆われていたサーキットも予選が始まるころには青空が覗きはじめ、夏の陽光が降り注ぎ始める。気温30℃・路面温度32℃で行われた予選Q1では、ジェントルマンドライバーの末長一範選手が1分30秒927をマークして9番手となり、これがRd.5のグリッドポジションとなった。

続くQ2はプロフェッショナルドライバーの福住選手が担当。気温は32℃、路面温度は35℃まで上昇するなか、残り2分となった4周目に1分28秒432をマークしていったんはトップに立つが、直後に555号車が1分28秒394を記録し2番手に後退。

しかし福住選手はセッション終了間際、最後のアタックで1分28秒220にタイムを更新し、コンマ1.7秒差でポールポジションを奪還した。2026年シーズン、K-tunes Racingにとって初めてのポールポジションである。

29日午後のRd.5は、9番グリッドから末長選手がスタート。気温34℃・路面温度40℃と、午前の予選時より4〜8℃ほど上昇しており、タイヤが早々にグリップを得やすいコンディションだ。オープニングラップの1コーナーで4番手と5番手の車両が接触し、その1台がコースアウトしたことで96号車は8位に浮上する。

さらに6周目には27号車をかわして7位へ、8周目には3番手を走っていた19号車がトラブルで順位を落としたことで6位まで順位を上げた。

しかし13周目、突如「ぶつけられた」という末長選手の声が無線に飛び込む。リボルバーコーナーで後続車にイン側から接触された96号車は、そのままコースアウトしてグラベルに捕まってしまった。

FCY(フルコースイエロー)が導入されるなか、オフィシャルの助けを借りて脱出すると、末長選手はそのままピットに戻る。

メカニックが車両をチェックして大きな問題がないことを確認すると、福住選手は14位でコースに復帰するが、その後もABSやエンジンの警告灯が点灯するなどして、複数回ピットに戻ることになった。折しもピットレーンには黒い雲が垂れ込め、通り雨がサーキットを濡らす不安定な空模様となった。

最終的に総合14位(PRO-AMクラス10位)でのチェッカーとなった。それでも福住選手はレース終了間際に1分29秒795のファステストラップを記録。接触によるダメージが軽微だったことを示す走りとなった。

Rd.6は悲願のポール・トゥ・ウィンを達成

30日(日)午後のRd.6は、ポールポジションから福住選手がスタート。気温35℃・路面温度48℃と、前日のRd.5と比べて路面温度がさらに8℃高く、週末を通じて最も厳しいコンディションでのレースとなった。

福住選手はわずかに出遅れた隙を突かれ、インから9号車に並びかけられると、ターン2でトップの座を明け渡す展開となる。

それでも福住選手はテール・トゥ・ノーズの状態で9号車に食らいつき、1分30秒台前半のペースを刻んで3番手以降を引き離していく。

ピットウィンドウがオープンした25分経過時点でも、トップとの差はわずか0.6秒。福住選手は第1スティントをぎりぎりまで引っ張り、ウィンドウクローズ直前でピットイン。末長選手にステアリングを託した。

前を走る9号車には、前日Rd.5を2位で終えたことによるサクセスペナルティ10秒が科されていたこともあり、末長選手はトップでコースに復帰。第1スティントでプロドライバーたちが刻んでいた1分30秒台に対し、1分31秒台という遜色ないペースを守り続ける。

その後もFCYやSC(セーフティカー)によるレース中断を挟みながら、末長選手は安定して周回を重ね、そのままトップでチェッカーフラッグを受けた。

K-tunes RacingにとってJapan Cupでの優勝は、2024年にシリーズチャンピオンを獲得したこの岡山大会以来のことである。

ピットでは石井貴之チーム代表をはじめチームスタッフ全員が握手やグータッチで健闘を称え合い、新田守男テクニカルディレクターが目に涙を浮かべる場面もあった。

また、パルクフェルメでクルマを降りた末長選手を福住選手が出迎え、2人はハグを交わして勝利の喜びを分かち合った。

97号車 Ferrari 296 GT3──トラブルとペナルティを乗り越え8ポイント獲得

予選Q1ではベティ・チェン選手が1分32秒756で11番手。続くQ2では高木真一選手が一時3番手につける速さを見せるが、5周目に「パワステが壊れた」との無線がピットに飛び込んだ。

97号車の實川久敏チーフエンジニアから「走れるなら行きましょう」との指示を受けた高木選手は、コーナーで高い負荷がかかった際にパワーステアリングが効かなくなる症状に見舞われながらも、6周目に1分29秒202まで自己ベストを更新した。

しかし、ライバル勢がタイムを伸ばしたことで、最終的に9番手でセッションを終える。チームはすぐにパワーステアリングユニットを交換し、万全の状態で午後の決勝Rd.5を迎えた。

Q1の結果に基づき、Rd.5はベティ選手が11番グリッドからスタート。前を行く車両の接触やトラブルによる順位変動に助けられたり、逆にオーバーテイクされて順位を落としたりする場面もありながら、9番手前後で周回を重ねる。

第2スティントの高木選手も冷静な走りでラップを重ね、23周目に19号車、24周目には45号車をパスして一時7番手までポジションを上げた。

しかしその直後、ベティ選手がピットインの際にピットレーン制限速度を超過していたことが判明し、高木選手にドライブスルーペナルティが科される。

高木選手はこれで9番手まで後退し、トップ集団を捉えるチャンスは失われたが、その後の展開で8位に挽回。最後は接触アクシデントにより45号車に5秒のタイムペナルティが科されたことでもう1つ順位を上げ、総合7位(PRO-AMクラス6位)でレースを終えた。

Rd.6は9番グリッドからスタートした高木選手が、オープニングラップで2台をパスして7番手に上がる好スタートを切る。

ところが14周目に高木選手から「やばい。アンダーステアがきつくなった」との無線が入った。気温35℃・路面温度48℃という前日から8℃上昇した暑さのなか、コーナーでの曲がりやすさを重視したセットアップを採用していたことが、フロントタイヤへの負荷増大となった結果だった。

ベティ選手へのバトンタッチ後も上位との差は徐々に開き、総合9位(PRO-AMクラス7位)でのフィニッシュとなった。

地元岡山でのレースウィークを振り返って

ポイントに目を向けると、96号車がRd.6優勝で25ポイント、97号車がRd.5で6ポイント、Rd.6で2ポイントを獲得し、この週末だけで合計33ポイントを積み上げた。

K-tunes Racingはチームランキングを14チーム中6位まで押し上げて、シーズン最終戦となる第7-8戦鈴鹿大会に挑む。

Comments

GT World Challenge Asia JAPAN CUP 2026 Rd.5-6を終えて

  • Kazunori Suenaga

    Kazunori Suenaga 末長一範 ドライバー

    木曜日のテストで、実質的に初めてフェラーリのステアリングを握りましたが、非常に乗りやすい感触でした。予選は9番手ながら、目標にしていた1分30秒台を記録でき、上位とも大きな差はありませんでした。レース1はペース自体悪くなかったのですが、不運な接触に見舞われてしまい、残念でした。それだけに、福住選手がポールを獲得してくれたレース2は、地元岡山でのポール・トゥ・ウィンを強く意識して臨みました。96号車はここ数シーズン、ジャパンカップで結果を出せずにいただけに、それを実現できたことが本当にうれしいです。

  • Nirei Fukuzumi

    Nirei Fukuzumi 福住仁嶺 ドライバー

    本来はコルベットで出走したかったのですが、急遽予定が変わりFerrari 296 GT3 EVOでの参戦となりました。フェラーリを走らせるのは僕自身も初めてで、97号車のデータを参考に手探りでセットアップを進めましたが、チームが本当にいいクルマに仕上げてくれました。末長選手も木曜日から少しずつレベルアップしていきました。予選では自分自身トラフィックでヒヤリとする場面もありましたが、しっかりポールを獲得できました。レース1は接触で戦線離脱となりもったいなかったですが、レース2はチーム全員でその悔しさを晴らすことができ、全員にとって気持ちよく締めくくれた週末になったと思います。

  • Betty Chen

    Betty Chen ベティ チェン ドライバー

    岡山国際サーキットは、私が約8年前にフォーミュラカーのドライビングを学んだ思い出の場所です。コースの記憶はあまり残っていませんでしたが、戻って来ることができたことをうれしく思います。当時よりずっと速いGT3マシンを走らせるのは新鮮な体験でしたし、高木選手も素晴らしい走りを見せてくれました。次戦の鈴鹿は私にとって初めて走るサーキットで、高速コーナーの多い難しいコースだけに少し緊張していますが、上位を目指して頑張ります。

  • Shinichi Takagi

    Shinichi Takagi 高木真一 ドライバー

    予選Q2はパワステのトラブルで本来のタイムを出し切れず、あれがなければ3位争いもできたと思うと悔しかったです。Rd.3はFCYやSCで前との差が詰まり、トップ集団に迫るチャンスもありましたが、アマチュアクラス同士のバトルに時間を取られたうえ、ドライブスルーペナルティも重なり届きませんでした。それでも7位(PRO-AMクラス6位)でポイントを稼げたのは収穫です。Rd.4はスタートで2台パスできて幸先良かったですが、暑さのなか40分近いスティントのセッティングを十分試せておらず、終盤はフロントタイヤの消耗に苦しみました。次の鈴鹿にも期待してください。

Results

GT World Challenge Asia JAPAN CUP 2026 Rd.5-6

  • Number
    96
  • Machine
    Ferrari 296 GT3 EVO
  • Driver
    末長一範/福住仁嶺

08/29 予選Q1 岡山国際サーキット 天候:晴れ 路面:ドライ

  • Position
    総合9位 / GT3 PRO-AMクラス7位
  • Best Time
    1'30.927

08/29 予選Q2 岡山国際サーキット 天候:晴れ 路面:ドライ

  • Position
    Position 総合1位 / GT3 PRO-AMクラス1位
  • Best Time
    1'28.220

08/29 決勝Rd.5 岡山国際サーキット 天候:曇り時々雨 路面:ドライ/ウェット

  • Position
    総合14位 / GT3 PRO-AMクラス10位
  • Best Time
    1'29.795(ファステストラップ)

08/30 決勝Rd.6 岡山国際サーキット 天候:晴れ 路面:ドライ

  • Position
    Position 総合優勝 / GT3 PRO-AMクラス優勝
  • Best Time
    1'30.053
  • Number
    97
  • Machine
    Ferrari 296 GT3
  • Driver
    ベティ・チェン/高木真一

08/29 予選Q1 岡山国際サーキット 天候:晴れ 路面:ドライ

  • Position
    総合11位 / GT3 PRO-AMクラス9位
  • Best Time
    1'32.756

08/29 予選Q2 岡山国際サーキット 天候:晴れ 路面:ドライ

  • Position
    総合9位 / GT3 PRO-AMクラス8位
  • Best Time
    1'29.202

08/29 決勝Rd.5 岡山国際サーキット 天候:曇り時々雨 路面:ドライ/ウェット

  • Position
    総合7位 / GT3 PRO-AMクラス6位
  • Best Time
    1'30.399

08/30 決勝Rd.6 岡山国際サーキット 天候:晴れ 路面:ドライ

  • Position
    総合9位 / GT3 PRO-AMクラス7位
  • Best Time
    1'30.515

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