K-tunes Racing Chronicle を公開しました。
実際のレース結果に基づくドキュメンタリーコミックが公開…
SUPER GT GT300クラスに岡山から挑むK-tunes Racing。2026シーズン、チームはエンジニア陣の刷新、シャシーの新調、そして7年ぶりのブリヂストンタイヤへの回帰という三つの決断に踏み切った。これまで輝かしい結果を残してきた一瀬俊浩・辻凱杜両エンジニアがK-tunesに集結し、ドライバーからスタッフまでチーム一丸で勝負をかけるシーズンが幕を開ける。
まずチーム体制だが、新田守男選手、高木真一選手、影山正彦監督という盤石の顔ぶれは昨シーズンから変わらない。

一方、今シーズン最大の体制変化は、チーフエンジニアに一瀬俊浩が、パフォーマンスエンジニアに辻凱杜がそれぞれ就任したことだ。
なお、一瀬はARTA 55号車のエンジニアとして2019年GT300クラスのシリーズチャンピオン獲得を支えた実績を持つ。辻もGT500クラスのARTA 8号車においてCIVIC TYPE R-GTの初優勝に貢献したエンジニアだ。


昨シーズンはリモートでチームをサポートしていた一瀬だが、今シーズンからはサーキットに立ち、現場で采配を振るう。走行後に自らタイヤの状態を確認し、ドライバーや監督と直接言葉を交わしながら即座にメカニックへ指示を出す——そのリアルタイムの判断こそが、リモートサポートとは決定的に異なる点だ。


さらに今シーズン、難波亮太が社員エンジニアとして新たにチームに加わった。輝かしい実績を誇る一瀬・辻両エンジニアのもとで経験を積み、将来のK-tunes Racingを担うエンジニアへと成長することが期待されている。
こうした新体制が発揮する最大の強みが、データ活用の徹底ぶりにある。従来の体制では、エンジニアの経験とドライバーのフィードバックのみでセットアップを判断していたが、一瀬と辻はRCF GT3に搭載された全センサーを駆使する。


「ドライバーの言葉を聞いて、その根拠をデータで見つけ出し、セットアップを改善していく」と石井貴之チーム代表が語るように、主観と客観が緻密に結びついたアプローチだ。
石井代表は、一瀬がチームに加わった昨シーズンも大きな手応えを感じていたが、今シーズンは現場での指揮ということで、セットアップの精度はさらに増すと語る。


こうした精緻なセットアップを最大限に活かすうえで、足回りの土台も整えられた。RCF GT3のシャシーは2シーズンぶりに新品へと更新されたのだ。
長期使用したフレームは疲労が蓄積するにつれ、コーナリング時の負荷に対してボディがわずかにたわむようになる。その結果、どれだけ丁寧にセットアップを施しても、本来の性能を路面へと伝えきれない。


新品のシャシーはそのたわみを排することで、セットアップの効果をそのまま走りに反映できる。「ボディのねじれがなくなる分、しっかりグリップできるようになる」と石井代表が語るように、今シーズンの戦闘力を支える条件が揃った。
体制の刷新と並んで今シーズンの大きなトピックとなるのが、7年ぶりのブリヂストンへの回帰だ。
2020年シーズンよりダンロップで参戦してきたK-tunes Racingだが、ブリヂストンは参戦初年度の2018年、翌2019年に使用した実績があり、2018年がシリーズランキング6位、2019年が同2位という好成績を残した。


石井代表によれば、当時すでにかなり完成度の高いタイヤで、今回はそのコンパウンドをほぼ踏襲しつつ、構造面をさらに進化させているという。かつて結果を出したタイヤが、さらなる熟成を経てRCF GT3に戻ってくる。
開幕前の公式テストでは、岡山国際サーキットで想定以上の走りができ、確かな手応えを得たと石井代表は語る。


レギュレーション面では、予選方式などに大きな変更はなく、ノックアウト予選が引き続き採用される。
サクセスウェイト(※)が50kgを超えた場合に給油流量が制限されるサクセス給油リストリクター制度も引き続き適用されており、上位チームほど給油に時間がかかるというハンディは今シーズンも変わらない。好成績を収めれば収めるほど課題も増すこの制度への対応も、チームにとって重要なテーマのひとつとなる。


いよいよ4月11日、地元・岡山国際サーキットで幕を開けるSUPER GT 2026年シーズン。「開幕こそが決勝戦という気持ちで戦う」と石井代表が言葉に力を込めるように、K-tunes Racingは第1戦から勝利だけを目指して走る。
※サクセスウェイト:レース結果によって獲得した通算ポイントに応じてウェイトを搭載することで、各マシンの性能が均衡するよう調整し、シーズンを通じてイコールコンディションに近い状況で戦うことを実現する制度。