地元岡山の開幕戦、試練に屈せず7位完走<br>波乱の一戦が映し出したK-tunes Racingの可能性

2026.04.11-12 SUPER GT Rd.1 OKAYAMA Race Report地元岡山の開幕戦、試練に屈せず7位完走
波乱の一戦が映し出したK-tunes Racingの可能性

by Koichi Yamaguchi/ April 17, 2026

4月11日(土)・12日(日)、岡山国際サーキットで「2026 AUTOBACS SUPER GT 第1戦 OKAYAMA GT 300km RACE」が開催された。96号車K-tunes RCF GT3は予選で9番グリッドを獲得。決勝ではスタート直後に激しい異音が発生するアクシデントに見舞われながらも、新田守男選手と高木真一選手の粘り強い走りで7位完走を果たした。大会ポイント9点とチーム周回ポイント3点を獲得し、新シーズンの開幕を幸先よく飾っている。

予選──路面温度が急上昇する中、9番グリッド獲得

4月11日午前の公式練習は路面温度28℃台と比較的穏やかなコンディションに恵まれ、新田守男選手と高木真一選手がブリヂストンタイヤとのセットアップを丁寧に煮詰めていった。

ところが午後の予選では状況が一変し、Q1がスタートする14時には路面温度が42.6℃まで急上昇した。今シーズンから復帰したブリヂストンタイヤをこれほど高温の路面で走らせるのは初めての経験だ。

「タイヤがどうグリップするか正直分からない状態だった」と新田選手が振り返るように、開幕戦から難しい戦いとなった。

そのような状況下でも新田選手は着実にタイムを更新し、4ラップ目に1分26秒205を記録してAグループ3位でQ2進出を確定させた。

アタック後には新田選手から「1コーナーとヘアピンの立ち上がりでリアが跳ねる現象がある」との報告が無線で届いた。午前の公式練習では見られなかった症状だ。チームはQ2に向けてダンパーのセットアップの調整に着手した。

Q2では高木真一選手が混雑を避けるため、スタートから約1分後に17番手の順でピットアウトし、冷静にタイミングを見極めた。4ラップ目に入る直前、「さあ、行きますよ!」という力強い言葉が無線に流れ、そのラップで1分25秒488をマーク。9番グリッドを手にした。ブリヂストンタイヤ装着のFIA-GT3(※)勢ではトップのポジションであり、まずは及第点の開幕予選である。

決勝──地元の熱い声援が背中を押す

決勝日も初夏を思わせる強い陽光がサーキットに照りつけた。気温23℃に対して路面温度は45℃まで上昇し、タイヤ管理の重要性が増す一日となった。

そんな中、K-tunes Racingのホームグラウンドである岡山国際サーキットには、チームの母体となった岡山トヨペットのスタッフをはじめ総勢750名を越える大応援団が集結し、チームへ声援を送った。

激しい異音で後退するも、新田選手の冷静な判断で順位回復

午後1時25分、GT300クラスの決勝レースがスタート。しかし全力加速した新田守男選手を、突如として激しい異音が襲う。

「エンジンが一気に1万回転まで回ったような激しい音がして、エンジンを守るべく反射的にアクセルを緩めた」

そう新田選手が語るように、1コーナーで後続3台にオーバーテイクされ、ポジションは12位まで後退。しかし、走行に支障がないことを確認するや否や、新田選手は冷静に戦闘継続を決断する。

今大会では、コーナリング時により大きな負荷がかかる左側2輪のみを交換してピット作業時間を短縮する戦略をチームは初めて採用した。無交換の右タイヤをなるべく良い状態で高木選手に渡すべく、新田選手は右タイヤを労わりながらも前走車を一台ずつ着実に攻略していく。

7ラップ目にはベストタイム1分28秒202を刻み、9ラップ目に87号車をオーバーテイクして11位に浮上。16ラップ目には前方を走る52号車がペナルティで大きく後退し、21ラップ目には60号車をパスして8位まで順位を回復した。

トップ勢と変わらぬペースで、高木選手が猛追

断続的に続く異音に対しても、新田選手はなるべくエンジンと駆動系へ負荷をかけないようアクセルコントロールに注意を払いながら走り続けた。

戦略どおり第1スティントをミニマムで終えた新田選手は、24周目にピットイン。チームは左側2輪のみのタイヤ交換と給油を実施した。

しかし左リアのナットが締まり切らないうちにジャッキを下ろすミスが発生し、再作業を余儀なくされる。短時間ピットの優位を生かしきれず、高木真一選手は暫定27位でコースに戻ることとなった。

戦線に復帰し、猛追を開始した高木選手は、前を行く車両を一台ずつ着実に攻略。50ラップ目には、辻凱杜パフォーマンスエンジニアから「トップ勢と変わらないペースで走っています」とのコメントが無線で届くほどだった。

終盤はガソリンが軽くなるにつれてパフォーマンスがさらに向上し、1分28秒台をコンスタントにマーク。64ラップ時点で3.5秒あった2台前の52号車との差は、66ラップで1.5秒に縮まり、67ラップには直前の88号車とテール・トゥ・ノーズの展開を繰り広げる。

さらに、タイヤ無交換で走り続けた52号車がペースを落として下がってきたところを、激しいバトルの末に74ラップ目の最終コーナーで仕留めて7位に浮上。最後まで攻めの走りを貫き、チェッカーフラッグを受けた。

確かな手応えとともに、第2戦富士へ

今大会初めて挑んだ左側2輪のみの交換戦略は、ピット作業に課題を残した。しかし、今回の経験を糧に、次戦ではスムーズな作業が期待できる。一方、タイヤのロングランにおける高いポテンシャルは決勝レースで実証された。エンジン、もしくは駆動系の異音という未解決の問題を次戦までに解消できれば、第2戦富士での表彰台は現実的な目標だ。

※FIA-GT3

GT300クラスには、大きく分けてFIA-GT3とJAF-GT300という2種類の車両が混走しています。前者は自動車メーカーが製作した国際規格のレーシングカーで、K-tunes Racingが駆るLEXUS RCF GT3もこのカテゴリーに属します。一方、後者は日本自動車連盟(JAF)の規定に基づき、比較的自由な改造が認められた国産車ベースのマシンです。両者は車両特性が異なるため、公平な競争を保つためにBoP(性能調整)が実施されています。

Comments

SUPER GT Rd.1 OKAYAMA を終えて

  • Masahiko Kageyama

    Masahiko Kageyama 影山正彦 監督

    週末を通じて一瀬チーフエンジニアと辻パフォーマンスエンジニアがブリヂストンのスタッフと連携し、高い路面温度のコンディションに的確なタイヤをセレクトしてくれたことが、結果につながりました。片側のみのタイヤ交換という新しい作戦に挑んだ分、ピット作業でミスが出てしまいましたが、それも含めて第2戦へ向けた教訓として活かしたいと思います。今シーズンはポジションが下がっても最後まで戦い続けられることをこのレースで確認できました。第2戦富士では、2人が表彰台に上がる姿を見たいですね。

  • Morio Nitta

    Morio Nitta 新田守男 ドライバー

    スタート直後に激しい異音がして、エンジンを守るために反射的にアクセルを緩めたのですが、3台にオーバーテイクされてしまいました。異音が続くなかで、エンジンや駆動系になるべく負担を掛けないように走りつつ、なんとか8番手まで回復することができました。ピット作業のミスがあるなかでも7位でゴールできたのは、一瀬、辻両エンジニアのおかげです。今回のレースでロングの感触が明確に分かったので、そこをしっかりアジャストして、第2戦富士では表彰台争いに加わる走りを見せたいと思います。

  • Shinichi Takagi

    Shinichi Takagi 高木真一 ドライバー

    セットアップに手探りの部分が残るなかでの決勝でしたが、ガソリンが軽くなるにつれてパフォーマンスが上がり、終盤に1分28秒台をコンスタントに刻めたのはタイヤのポテンシャルによるところが大きいです。セットアップが整えば、もっと強いクルマになると確信しています。地元岡山でもっと前でゴールしたかったというのが正直なところですが、富士に向けて一瀬、辻両エンジニアと課題を整理しながら、しっかり準備して臨みます。

  • Hayato Yamaji

    Hayato Yamaji 山地隼人 チーフメカニック

    チーフメカニックとして臨む初めての大会で、まず完走してポイントを獲得できたことを、とても嬉しく思います。ピット作業では初めて挑むパターンで確認ミスが出てしまいましたが、合図の取り決めや担当者の配置など、すぐに対策を立てられる部分です。クルマはレースで最後まで勝負できるところまで来ています。第2戦富士では今回の反省点をチーム全員で洗い出して、もっと上の結果を目指していきたいと思います。

Results

2026 AUTOBACS SUPER GT Rd.1 OKAYAMA

  • Number
    96
  • Machine
    K-tunes RCF GT3
  • Driver
    新田守男/高木真一

04.11 公式予選Q1グループA 岡山国際サーキット 天候:晴れ 路面:ドライ

  • Position
    3rd 
  • Best Time
    1'26.205 
  • Tyre
    BS

04.11 公式予選Q2 岡山国際サーキット 天候:晴れ 路面:ドライ

  • Position
    9th
  • Best Time
    1'25.488 
  • Tyre
    BS

04.12 決勝レース 岡山国際サーキット 天候:晴れ 路面:ドライ

  • Position
    7th
  • Best Time
    1'28.202 
  • Tyre
    BS

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