真夏の富士を襲った天候急変を乗り切り<br>新田選手・高木選手、粘りの走りで掴んだ4ポイント

2026.08.01-02 SUPER GT Rd.4 FUJI Race Report真夏の富士を襲った天候急変を乗り切り
新田選手・高木選手、粘りの走りで掴んだ4ポイント

by Koichi Yamaguchi/ August 07, 2026

静岡県・富士スピードウェイで8月1日(土)・2日(日)、「2026 AUTOBACS SUPER GT 第4戦 FUJI GT 300km RACE」が開催された。第3戦セパン大会の延期により、実質的には今シーズン3戦目となる一戦だ。96号車K-tunes RCF GT3は予選14番グリッドから決勝に臨んだ。朝の穏やかな空模様は一転、急変する天候とGT500クラスの接触事故による赤旗中断に見舞われる波乱の幕開けとなったが、新田守男選手・高木真一選手のベテランコンビは着実な走りで15位完走を果たす。貴重な4ポイントを獲得し、開幕からの累計は24ポイント、チームランキングは11位につけている。

公式練習──猛暑のなかで見出したセットアップの方向性

8月1日午前、公式練習がスタートした10時30分の気温は31℃、路面温度は48℃まで上昇。約3カ月ぶりに富士へ帰ってきたSUPER GTを、真夏らしい酷暑が出迎えた。

標高が高く気圧の低い富士は、自然吸気エンジンを積むRCF GT3にとって分の悪い舞台だ。さらに、昨シーズンも真夏のレースではエンジンのパフォーマンス不足が顕著だった。案の定、新田守男選手・高木真一選手は走り出しから本来のパワーが出ていないと無線で訴えた。

公式練習前には、ドライバー、レース関係者、そして観客など富士スピードウェイにいるすべての人から、熊本地震の被害者とその家族へ黙祷が捧げられた

両選手からは「コーナの入り口、出口ともにリアが安定しない」との無線も届いたが、一瀬俊浩チーフエンジニアらがリアのセットアップをハードな方向へ振ると、今度はフロントが入らないアンダーステアが顔を出す。それでもフロントとリアのバランスを探りながら、両ドライバーが「乗りやすい」と口を揃えるセットアップへまとめ上げた。

予選──Q1を突破するも、エンジンパワー不足に悩まされQ2は14位に

午後の予選Q1グループAを担当した高木真一選手は、集団を避けるべく15台中の最後にピットアウト。5ラップ目に1分37秒988を刻み、6位でQ2進出を果たした。

続くQ2でステアリングを握った新田選手は1分37秒603のベストタイムをマークしたが、ライバル勢が続々とタイムを更新するなか順位を落とし、最終的に14位となった。

高木選手・新田選手ともに、本来のエンジンパフォーマンスが出ないなか、少しでもタイムを縮めようとエアコンを切ってアタックに挑んだが、決勝は14番グリッドからのスタートとなった。

決勝──ぎりぎりのタイヤ選択で迎えたスタート

8月2日の決勝当日も朝から気温31℃を越える真夏らしい暑さとなった。レース前のピットウォークでは、8月8日に誕生日を迎える影山正彦監督へサプライズで祝福が贈られ、福住仁嶺選手や阪口晴南選手といった縁のあるドライバーも輪に加わるなど、緊張感溢れるピットに和やかな一時が訪れた。

そんな時間も束の間、11時30分、富士スピードウェイ上空を黒い雲が覆うと大粒の雨が叩きつけるように降り出す。正午のウォームアップの時点で雨は上がっていたが、路面はまだ濡れており、チームはいったんハードめのウェットタイヤを履いて送り出した。

まもなく一瀬チーフエンジニアから第1スティントを担当する新田選手に「ドライタイヤで行けそうか確認してください」との無線が入り、路面の乾きを確認した新田選手はすぐにピットイン。ドライタイヤを履いた他チームが1分43秒台のラップタイムを刻んでいたこともあり、チームは予選から履き続けたハードめのドライタイヤでの出走を決めた。

ところが空模様は刻一刻と変わり、13時のグリッドウォーク中に再び大粒の雨が降り注ぐ。一瀬俊浩チーフエンジニアらは風向きや雲の動き、気温、路面温度等を絶えず確認しながら、ドライタイヤのまま踏みとどまる判断を下した。

第1スティント──グリーンシグナルの直後にアクシデントで赤旗中断

狙い通り、フォーメーションラップ5分前の13時25分に雨は上がる。気温は31℃、路面温度は41.2℃と厳しい暑さがドライバーを襲うなか、13時30分、セーフティカー先導で300kmの決勝レースが幕を開けた。

ところが、4周を終えたセーフティカーがピットレーンへ引き上げ、5周目にグリーンシグナルが灯った直後、ホームストレートでGT500クラスの車両3台が接触。1台が宙を舞う大きなアクシデントに、ピットから観客席までが騒然とする。

ドライバーの無事が伝えられたもののレースは赤旗中断に入り、この間に路面温度は35℃まで下降してしまう。14時15分、レースはセーフティカー先導により6周目から再スタートが切られたが、トップ勢が1分38秒台で周回するなか、冷え込んだ路面とハードめのドライタイヤとのマッチングに苦しみながら、本来のパフォーマンスを発揮しきれないエンジンにも苦戦する新田選手は、1分40秒台前半にとどまり、じりじりと順位を落とす。17位まで後退したところで24周を走り終え、一瀬チーフエンジニアの指示でピットへ向かった。

第2スティント──高木選手が終盤に巻き返しポイント獲得

路面温度の低下を受け、チームは想定していたハードめのドライタイヤ外側2輪のみの交換作戦を見送り、4輪をソフトめのドライタイヤへ履き替える。

ステアリングを託された高木選手は、冷えたタイヤでのアウトラップでいったん26位まで後退。しかし燃料が徐々に減り、車重が軽くなるにつれてラップタイムは着実に向上。41周目には1分39秒677のベストラップを記録した。

他車のピットインが一巡し、レースが落ち着きを取り戻すなか、高木選手はじわりとポジションを回復していく。

55周目には前を走る61号車のタイヤバーストで16位に順位を上げた。無線からは「あと1台パスすればポイント獲得」と一瀬チーフエンジニアの声が飛ぶ。

60周目には100Rで前走車の9号車を一度はかわしたものの、ヘアピンの立ち上がりでパワー差から抜き返される。それでも食い下がった高木選手は、迎えたファイナルラップの61周目、一瀬チーフエンジニアの声に応えるように最終コーナー手前で再び9号車をとらえて15位に浮上。そのままチェッカーフラッグを受けた。

15位フィニッシュの1ポイントに、トップと1周差以内での完走ボーナス3ポイントを合わせ、K-tunes Racingは合計4ポイントを獲得している。

次戦鈴鹿への手応え

気まぐれな空模様とエンジンのパフォーマンス不足に悩まされた今大会。順位は振るわなかったものの、収穫は少なくない。公式練習で苦戦したセットアップを数時間で仕上げた対応力、めまぐるしく変わる天候のなかでタイヤ選択とピット作業を的確にこなしたチーム力は、シーズン後半戦への追い風となる。

ブリヂストンタイヤは決勝のロングランでもパフォーマンスを落とさない安定感を見せた。次戦は中高速コーナーを主体とする鈴鹿サーキット。エンジンのパフォーマンス不足は引き続き懸念されるものの、高木選手が語るように、RCF GT3は本来、15位や16位を争って終わるクルマではない。K-tunes Racingは鈴鹿で、その言葉を証明する走りを目指す。

Comments

SUPER GT Rd.4 FUJIを終えて

  • Masahiko Kageyama

    Masahiko Kageyama 影山正彦 監督

    公式練習でドライバー2人からリアの接地感がないと聞いた時は胸中穏やかではありませんでしたが、クルマではなくセットアップに要因があると確信していました。エンジニアが試行錯誤してくれた結果、オーバーステアからアンダーステアへとクルマの特性がポンと入れ替わってくれたので、すぐに乗りやすい状態へ仕上げられました。決勝は天候の急変と赤旗中断で路面温度が目まぐるしく変わり、厳しい判断を迫られましたが、チーム全員が落ち着いて対応してくれました。ブリヂストンタイヤはロングランでも安定したパフォーマンスを見せてくれています。次戦鈴鹿はRCF GT3が得意とするレイアウトなので、より上位でチェッカーを受けたいと思います。

  •  Morio Nitta

    Morio Nitta 新田守男 ドライバー

    公式練習の走り出しでは、フロントのグリップ感に対してリアが追いつかず、コーナーの進入も出口も安定しない挙動に苦しみました。しかし、セットアップを詰めるうちに狙っていたバランスに近づき、短時間で格段に乗りやすいクルマに仕上がりました。予選ではエンジンパワー不足を補おうとエアコンを切ってアタックに臨みましたが、14位が精一杯でした。決勝は雨と赤旗中断で路面温度が35℃まで下がり、僕が履いたハードめのタイヤとのマッチングには苦労しましたが、それでも高木選手が順位を戻して、貴重な1ポイントを掴んでくれました。真夏のレースとなる次戦もエンジンパワー不足は想定されますが、鈴鹿はRCF GT3が苦手とする低速コーナーが少ないため、しっかり上位を狙いたいと思います。

  • Shinichi Takagi

    Shinichi Takagi 高木真一 ドライバー

    今シーズン、初めて履くブリヂストンのハードめのタイヤでしたが、新田選手とセットアップを詰めていき、格段に乗りやすいクルマに仕上がりました。決勝レースの60周目に9号車を100Rで一度はかわしましたが、ヘアピンの立ち上がりでパワー差から並び返され、正直勝負になりませんでした。それでも最終ラップで再びとらえ、15位でチェッカーを受けられたのは、今のエンジンパフォーマンスを鑑みるとベストの結果だと思います。このレースウィークで今まで経験のない仕様のタイヤを試すことができたので、得られたデータを活かして、次戦鈴鹿ではより上位を目指します。

  • Taiyo Mitsumori

    Taiyo Mitsumori 光森太陽 メカニック

    天候がここまでめまぐるしく変わるレースを経験したのは僕自身初めてでしたが、ベテランドライバーと経験豊富なエンジニアの的確な判断のおかげで、慌てることなく作業に集中できました。セパン大会の延期で生まれた時間を使い、アンテナ調整など普段はなかなかできない無線機の改善に取り組んだのですが、レース中のコミュニケーションがスムーズになり、ピット作業の精度向上にもつながりました。シーズン後半戦に向けて、こうした細部へのこだわりを積み重ねながら、よりチームに貢献していきたいと思います。

Results

2026 AUTOBACS SUPER GT Rd.4 FUJI

  • Number
    96
  • Machine
    K-tunes RCF GT3
  • Driver
    新田守男/高木真一

08.01 公式予選Q1 Aグループ 富士スピードウェイ 天候:晴れ 路面:ドライ

  • Position
    6th
  • Best Time
    1'37.988
  • Tyre
    BS

08.01 公式予選Q2 富士スピードウェイ 天候:晴れ 路面:ドライ

  • Position
    14th 
  • Best Time 
    1'37.603
  • Tyre
    BS

08.02 決勝レース 富士スピードウェイ 天候:雨/曇り 路面:ウェット/ドライ

  • Position
    15th
  • Best Time 
    1'39.677
  • Tyre
    BS

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