
速度を芸術に昇華する──
相澤陽介が創造する
K-tunes Racingの「SPEED ART」
2025年、K-tunes Racingが掲げた新しいチームコンセプト「SPEED ART」。この言葉が示すのは…
2025年4月12日・13日に岡山県の岡山国際サーキットで行われたSUPER GT Rd.1 OKAYAMA GT300km RACE。
96号車K-tunes Racingにとっては、"地元岡山での開幕戦"という毎年のことながら、チームとして自然といつも以上に気合が入る大切な週末だ。
土曜日は最高気温21℃と晴天に恵まれ、多くのレースファンがサーキットに集まっている様子が見られた。ピットウォークでは半袖で作業できるくらいの気持ちのいい天気と心地いい風に、思わず今年花粉症デビューしたことを忘れてしまうほどであった。
やはり開幕戦の楽しみといえば、新しくなったマシンのカラーリングはもちろんのこと、WinGのコスチュームではないだろうか。今年はメンバーも4人体制となり、更に迫力が増しながらも洗練されたイメージを感じ取ることができる。2025年、チームが新たに掲げたコンセプト『SPEED ART』。これがピッタリと合うコスチュームはパーツの取り外しが可能なようで、全てのサーキットで変化を楽しめるという。どこが変わっていくのかを予想して是非楽しんでいただきたい。
14時18分からGT300クラスQ1B組の予選がスタートすると、チーム内はもちろんのこと多くの岡山ファンの熱視線が96号車に注がれていた。残念ながらQ2進出とはならず、B組10番手。決勝レースでは19番手からスタートすることとなった。Q1を担当した新田選手はガレージに戻ってくると同時に「ごめん!ごめん!」と、全てのチームスタッフに手を合わせて謝っていた。誰のせいでもなく、もちろん新田選手のせいでないのにも関わらず、1人1人に謝っていく新田選手のその行為が、ご本人が1番心からQ2に進出したかったんだという気持ちを持っていたことを感じ取れた。
朝から晴れていた空はGT500クラスの予選Q2が始まる頃には風が少し強くなり曇り空が目立つように。土曜日の夜から降り始めることが予報されている雨が近づいている様子だった。
休憩中にたまたま石井チーム代表と一緒に机に座っていると、そこに更にたまたま影山監督が登場し、私の前にニコニコとしながら座ってくれた。「元気でしたか?」と聞いてみると「なにがだよぉ〜」と話を逸らそうとする影山監督。
石井チーム代表が「何か話すとコラムにされますよ」と忠告すると、影山監督に著作権的なものを要求されてしまった。その後はそんな忠告や要求もなかったかのように、出身小学校のことをたくさん話してくれた。どうやら、過去には出身校からメッセージを出すことを頼まれたことがあるようだ。「自分が頑張れる、何かやりたいことや特別なことを見つけてください」こんな感じのメッセージを卒業生に向けて送ったらしい。私がもし、小学生の頃にこんなかっこいい大人からのメッセージを見ていたら、また違った道を歩んでいたかもしれない。
日曜日は、予報通りに朝から雨模様。9時40分からピットウォークが始まる頃には更に雨足が強くなったが、それでも新田選手と高木選手の人気は衰えることを知らない。今回、数年ぶりにサーキットに復帰した岡山トヨペットの公式マスコットキャラクター『くまる』も、その存在感をしっかりと放ち決めポーズを取っていた。久しぶりにサーキットで見たが、こんなにも大きかっただろうか。気になって近づいてみたら、くまるも近づいてきてくれた。
ドライバーアピアランスの後には毎戦恒例のチームミーティングが行われ、レースに向けてチームの気持ちがひとつになり高まっていくのを肌で感じた。開幕戦、岡山はいつだって特別だ。
総勢約700名を超える岡山トヨペット応援団の皆様が見守る中、レースが遂にスタート。雨に翻弄され、クラッシュによる赤旗が提示される荒れた展開となり、レースを通してセーフティーカー(SC)やフルコースイエロー(FCY)が数回出される中でも、96号車は徐々にポジションを上げていった。スタートドライバーの新田選手はグングンとペースを上げて、予選での鬱憤を晴らすような素晴らしい走りを見せてくれた。高木選手にドライバー交代し、新田選手がガレージに戻ると新田選手はとびきりの笑顔を見せていた。特に影山監督は、スタートから履いていたウェットタイヤを見て「使い切ったよ!これみて!使い切った!!」とニコニコしながらコメント。
チームに良い流れと空気をもたらしたのは、監督、ドライバーのお二人、エンジニアとメカニックの方々はもちろんのこと、今回応援に駆けつけてくれた大応援団の声援とサポートによるものだ。
19番手からスタートした96号車はなんと終盤3番手を走行し、表彰台の獲得も期待されたが最終的に6位でフィニッシュ。「ドライに変えてから、最後はなかなかペースが上がらなかった。そこが今後の課題だね」と高木選手は疲れ知らずの笑顔でメディアに対して語っていた。ただ、19番手から6位への見事な逆転劇は最高のシーズンスタートと言っても過言ではないはずだ。重要なポイントを獲得し、チームの士気は次戦に向けて上がっていくことになるだろう。
今シーズン第2戦は5月3日・4日に富士スピードウェイでの開催が予定されている。開幕戦で見事『SPEED ART』を体現した96号車がどんなパフォーマンスを見せてくれるのか、是非目を逸らさずに注目し続けてほしい。
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